ジョンベネ・ラムジー・ノー・リターン

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060818-77208.html

 事件発生から約10年ぶりの急展開に、米テレビはかなりの時間を割いて事件を報道、タブロイド紙ジョンベネちゃんの写真とともに「解決」などの大きな見出しを付けて大々的に報じているが、米捜査当局は、結論に安易に飛び付かないよう警告するなど、慎重な姿勢を示している。

 ハッシュハッシュ! 昨日、降ってわいたように報じられたジョンベネちゃん事件の続報。とりあえず俺は、なんといっても10年、10年前の事件ということに少し驚いた。「去年の事件」と言われれば「そりゃ違うだろう」と言えるが、「3年前」と言われれば、それで納得してしまうような距離感を抱いていたからだ。10年といえば、当時3、4歳だったお子さまが、今じゃ立派な中学生とかになって、ネット上では大人に混じってもわからんようになっていてもおかしくはない。というか、そう見受けられる人の「なぜアメリカのこんな事件に日本のマスコミは大騒ぎしてるんだ?」という疑問の声をちらほら見受けられる。そりゃ当時も大騒ぎしたからさ。
 まあ、なんで大騒ぎになったかな。実に劇場型だったな。推理小説のような設定に、下手すれば近親相姦、幼児性愛の疑い。また、今回もたくさん流されるジョンベネちゃんの美少女コンテストの映像。ただ、かわいいとかだけでは済まされない違和感。ある種の時代のイコン。そんなものが集まって、えらい騷ぎになっていたのだ、太平洋を越えてまで。
 しかし、今回の報道のこのジョン・マーク・カーという男、真犯人かどうかは怪しい。この男がペドフィリア的傾向を持っていて、いくつか実行に移したのは確かなようだ。その結果、流れ着いたのがタイのバンコク。東南アジアは各先進国の落ちこぼれの吹きだまりというが、この男もそんなうちの一人だったか。それがあるいは毎夜の熱帯夜の悪夢にうなされて、このペドフィリアの夢のイコンたるジョンベネ殺しのまぼろしの記憶を我がものとして、それを抱いて吊されるのが本望などという妄想に喰われたということだって考えられる話。そうでなくったって、こういう大事件には自称犯人の病人たちがわんさか電話をよこすという。
 とはいえ、また話は蒸し返された。この男が「犯人しか知り得ない情報」を持っていたのも確かなこと。そうでなければ警察も動かない。もちろん、妄想と現実の偶然の一致かもしれない。あとは科学の目。しかし、元妻のコメント。地図で見るかぎり、アラバマコロラドは遠い。あるいはこの男、最初から「ジョンベネ殺しの妄想を抱いた男」として売り込む算段。ロリコン教師のレッテルというか現実でやり直す道は閉ざされている。一発逆転の大勝負。真犯人と名乗り出たのち撤回、しかし、曖昧ににおわせて焦点になり、異常性愛者、偽自供者としての自叙伝の一つでも出版。もちろん医者と弁護士の完全防備付き。しかし、「犯人しか知り得ない情報」がミステリとして残る。俺の卑しい野次馬としての見立ては、このあたりで。