週末のロイヤル競馬に向けてのメモ

 少し年季の入った競馬ファンならば、皇室に関するケントク買いを馬鹿にできないのには同意いただけるだろうか。つい去年の秋の天皇賞ヘヴンリーロマンスの激走を持ち出すまでもない。タカモト派は好んで下総御料牧場天皇賞高松宮記念といった名前を出して説明するが、説明はおいといても結果が伴えばよいと言える。JRAは皇室と相思相愛でありたいと願っている。
 そういうわけで、先週サイン読みで勝っておいて(id:goldhead:20060903#p1)、今週はやめるという道理もないので、早くも検討しても損はないように思える。まず、注目すべきは京成杯オータムハンデであることは言うまでもない。オータム=秋=秋篠宮様である。ここに出走する馬の中から、ロイヤル、エンペラー、キング、プリンス、もしくは出産にまつわるようなおめでたい文字を探せばいいだけの話である。
http://keiba.yahoo.co.jp/scores/2006/06/04/02/11/regist.html
 ……一見してそういう馬名はない。しいていえばメイショウオウテの「王」手か。ケイアイガードの「敬愛」もふさわしいように思えるが、少し迂遠のような気もする。が、あきらめてはいけない、父と母の名に着目したい。インセンティブガイの母ブライダルスイート、ペールギュントの母ツィンクルブライドが気になるが、今回はご成婚ではない。ストーミーカフェの母はグリーティングスというが、出産のお祝いやお知らせもグリーティング・カードにするのかどうかは知らない。しかも、ストーミーはあまり縁起が良いようにも思えないが。Autumn Moonという秋にちなんだ美しい名もあり、父がダンツィヒときて、息子の名はステキシンスケクン。こちらもどうか。
 となったら、今度は母父の名に目を移そう。カンファーベストの母父は、この時代に珍しいシンザンシンザンは神賛や神讃などと当て字されてめでたいが、本当のところはタケブンの孫で後に騎手になる栗田伸一の伸を取った「伸山」ということで、これは今ひとつである。他は盗掘者だの音楽を止めろだの物騷。おお、シンボリルドルフ。日本競馬における彼の二つ名は「皇帝」。馬はマイネルハーティーで最近冴えず、馬名にそのまま表れるものではないのは気になるが。と、思ったら露骨なものが現れた。ローエングリンの母父Garde Royale、ガルドロイヤル、フラ語から英語に移せばロイヤルガード。ロイヤルガード・ガルバルディといえば、ガズLとガズRで縁起がよいではないですか。いや、ガルバルディはαもβも関係ないですけれど。
 というわけで、馬名の元のローエングリンはいかがなものかと思いつつ、この馬に注目しましょう。しかし、あまりしっくりくるものではないので、白帽の一枠と、紅白になる三枠、末広がりの八枠にも注意を払いたいところ。ああ、あと、素直に天皇賞馬の子に注目というタカモト派の教えもありましたっけ。するとアンバーシャダイの子でまたもやカンファーベスト。やはりこの馬でしょうか。まあ、まだしばらく考える時間はありますとも。
 と、言いつつ朝日チャレンジカップも注目しましょうか。朝日も新しい幕開けにふさわしい言葉である。
http://keiba.yahoo.co.jp/scores/2006/07/03/01/11/regist.html
 こちらはたとえば、鳳凰の名をいただくスズカフェニックスなどめでたい雰囲気がある。母父もフェアリーキングだ。ツルマルヨカニセのヨカニセは「美男子」を意味する薩摩言葉で、語源は「よか二世」……と思っていたのだが、にせは「二歳」や「新背」らしい。どこで二世と思いこんでいたのか、司馬遼太郎のどれかを読んでそう知ったような記憶があるのだが、大司馬に責任転嫁するのもよくない。いずれにせよ薩摩は御維新や王政復古で大立ち回りした身なれば、鶴も吉鳥にて、多少考えておいてもよかろうもん。
 父母血統を見れば、いきなりアルスブランカの父がラストタイクーンタイクーンといえば、我が国の「大君」が語源とはっきりした英語であり、これに関しては徳川将軍を指したものが伝わったが、「大君」といえばおおきみと読んで意味するところは大伴家持海ゆかばを思い出すのを待つ必要もあるまい。しかし、しかしである。ラストタイクーンでは縁起の悪いことこの上なく、アルスブランカは消しである。ほかに、サクラゲイルの父サクラチトセオーは千歳王であり縁起はよい。母ロイヤルタイムのワンモアマイラインも気になるが、馬が馬だけにどうか。
 また、こちらも案外難しい。あとは、武豊武幸四郎幸英明福永祐一など縁起物の名前の騎手にも注意を払いたい。注意を払うのが多いと思われるむきもあろうが、タイムから、血統から、厩舍戦略から……何から入ろうがあらゆる要素に気を払い、ときにオミットするのが競馬予想なれば、いろいろの要素にときおりサインやらケントクやらを入れるのも一興と思う次第である。