発掘!あるある大事典2に発掘されてしまった男の話

 テレビをつけると、部屋やオフィスが散らかしっぱなしの人、‘キニナラネーゼ’タイプの脳の弱点は……、というので、私は驚いて、食い入るようにテレビをみてしまった。言うまでもなく、私は部屋もオフィスも汚い人間。それで、‘散らかしっぱなしの人は……’というならともかく、‘脳の弱点’が主語の方に、当たり前のように入っているのだ。これは大変だ! 私は脳に障害があったんだ! それがどんな脳障害かというと、後頭葉に障害があるという。この障害によって色彩など事物の認識が困難になり、やがては自分がどんな格好をしているのか、さらには信号機の色すら見分けられなくなるという! 番組では、オフィスの中から机まわりのきれいな人と、そうでない人を二人ずつ抽出して、カルタ取りで対戦させるという真に科学的な実験すら行い、その結果、なんと二倍の差が出たのだ! 普通の人間の半分の認識能力しかないのだ、我々は! この統計的事実は驚愕を持ちつつ、真摯に受け入れなければならないだろう。これでは社会生活を送ることも困難だ。自分の格好がわからないとなると、精神的に不安定にもなるし、他人の顔が識別できないとなるとほとんどの仕事も難しい。なんとも大変な障害だ。私は障害者だ。どこに行けば障害者手帳がもらえるのだろう? 篠原菊紀博士(諏訪東京理科大学)に聞けばわかるのだろうか? この博士は脳を鍛えるトレーニングのようなもので有名な人? これから有名になろうという人? きっと、立派な先生に違いないわ! ああ、私は今、どんな格好をしているんだ? 信号機は何色だ? 助けて、怖い、どこで障害者手帳もらえるの? お金を頂戴! ああ、さらには私はステラレネーゼだ! 意欲・決断力・判断力を司る、前頭連合野にも障害がある! 脳の30%が衰弱している! これも机の中を物で溢れさせている小学生がドーナツを選ぶのが遅いという科学の実証を経た厳然たる事実! 私も机の中が酷かったし、スーパーの買い物も、飲食店のメニューも迷うわ! 二重の障害よ! 脳が死んでるわ! これじゃ部屋から一歩も出られない! 誰か脳トレーニング買って頂戴! 磯子の脳の先生も助けて! 部屋の隅にいる小人を殺して頂戴! 
 ……つーか、はじめてこの番組こんなに長く見たわ。こんなんなのね。