映画『亡国のイージス』の後半一時間

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 テレビで放送。一昼夜過ぎても多少覚えているので覚え書きをする。
 チャンネルを回していて、一瞬映った画面で「『海猿』か」と思った。別に嫌いじゃあないが、興味もないので放っておいた。が、しばらくしてもう一度回すと、テロリスト姿のぴっちり横分け鼻でか兄さん。これは『海猿』ではありません。そして、新しい映画だ。俺は‘新しい邦画はお得’嗜好の持ち主なので、前半をざっくり見ていないのを後悔しつつ最後まで見た。
 見はじめて、まずわかったのは真田広之ダイ・ハードないしスティーブン・セガール役のようだということ。しかし、単なる先任伍長なんだろうか。なんだろう、強い。で、もっと強そうな一緒にいる若いのは誰で何者だろう。政府の方は佐藤浩市、上司に岸部一徳。この上司―部下の組み合わせはNHKドラマ『クライマーズ・ハイ』(id:goldhead:20051219#p1)そのものじゃない。そして、反乱艦長寺尾聰原田美枝子は『半落ち』(id:goldhead:20050324#p4)の組み合わせ。いやはや、しかしなんだ、日本映画界のオールスターというとなんだけれど、いい役者を揃えた感じだ。真木蔵人原田芳雄も。
 それで、なにやら背景にいろいろあるような人たちがいろいろの思惑で動いていく。このあたり、前半を見ていないのを悔いて、逆に途中からやめて一から見直そうかと思わなくもないしろもの。なんでこの艦長が反乱してるの? とか、真田と一緒の若いのはなんだろう? 中井貴一とあの女工作員のハマスタでのシーンは? などなど。あと、艦長以下と工作員の関係とかもよくわからんで、そこが奥深さ、みたいな。
 という感じで見ていたのだけれど、最後の方はなんだかドタバタ。どんどん登場人物が片づけられていく感じ。なんかそういうアトラクションみたいに死んでいく(たまにはこういうので曰くありげな敵役が生き残ってみてもいいんじゃないかと思う。寺尾艦長が生き残って、裁判にかけられたっていい。でも、動機だけは語らない、みたいな斬新さ)。で、おきまりの核兵器(……だと思っていたら、毒だったのか)奪い合いアクション。うーん、ちょっといまいち。まあ、伏線どころか、設定をちいとも知らないで見ているのだから仕方ない。ついでに言えば、前半見ていない人間にとって、この映画の持つ政治性は受信できませんでした。
 が、世の中の多くの人と同じだろう、あの手旗信号には笑った。笑わずにおれようか。もし、最初から見ていて、深く深く物語にのめり込んでいても、あれには笑う自信がある。そりゃあねえ、偵察衛星の解像度をもってすれば、ああ見えるのかもしれない。あれが、リアリティを追求した結果かもしれない。だけれどもね、あれは笑えるでしょう。どうしてものづくりに携わる大勢の人間、それも選ばれた一握りの人間が関わっていて、こうなってしまうのか。誰も「これはやばいですよ」と言えないのか。俺は不思議でならない。どうしても衛星でなくてはならなかったのか。どうしても手旗でなくてはならなかったのか。深い闇だ。
 ……その後、この映画のネタバレ含む感想など見てみたが、どうも俺が「前半を見ていないから」と謎に思っていた部分のいくらかは、ロスト・イン・映画化ということらしい。ふーむ、知ってよかったような、よくないような。でも、空と海の自衛隊協力で、なかなかその辺は見どころだったが。ところで、俺は失笑ものとされる『トップガン』の日本版(?)ともいえる『ベスト・ガイ』(ASIN:B0001W8HZ2)がそこそこ好きなんだが、駄目だろうか? 俺は単に自衛隊好き、あるいは兵器好きなだけなんだろうか? 石破茂議員はどう思う?