三日あれば気づくのには十分すぎる

 私はディープインパクトという馬を知って競馬を始めたから、ディープインパクトのいない競馬にまったく興味を失ってしまった。ディープインパクトはとても愛らしいサラブレッドだった。そして、史上最強のサラブレッドだったと思う。
 同世代ばかりか、歴史上のほとんどの名馬にだって負けなかったと思う。カテゴリーの壁だって超えられたと思う。もしも短距離レースを走ったら、きっとニホンピロスタディを差し切れたと思うし、マイルでヒロデクロスと切れ味を競っても問題なかったろう。ダートを走ればセントリックにだって勝てたろうし、どんな長距離戦でもサージュウェルズより先にばてることはなかっただろう。ディープは最強に強まった強い馬だったのだから。
 そんな馬を見て、そんな馬がターフを去って、これ以上競馬の何を見ればいいのかわからない。なぜ競馬を見ればいいのかわからないのだ。
 だから私は競馬をお休みしようと思う。けっして、年始めの三日間開催で堪えきれないほど負けたから、頭がおかしくなってしまったからではない。土日の二日間で気づかなかった何かに気づいてしまったからではない。そうだ、ディープが去ったから。だけど、明日のマツリダゴッホだけは買おうと思っているのだ。