一つにならなかった志の記録

 会社の人の携帯電話に、九州方面(局番から推定)からしょっちゅう間違い電話が入る。昔使っていた番号なのか、誤って流布してしまったものなのか。それで、何度かかけ直して違う番号である旨説明したものの、なかなか人気者のものらしく、なかなか絶えない。
 留守電も入る。あまりにもすごいテンションだ、というので聴かせてもらったが、それもすごかった。訛りがあってよくわからないが、
「○○さん! こないだの土曜日はありがとうございました! 今後もよろしくお願いします! 志を一つにしてがんばります!
 ……というような内容。なかなか日常レベルで聞けないような台詞。あるいは、ローテンションで、ぶつぶつとひたすら感謝の言葉を述べる(こちらは訛りひどすぎて書き起こすのも無理)というパターンも。
 はたして、本来感謝の言葉をかけられる人はどのような生業をする、どのような人間なのだろうか。まあ、まったくもって他人の携帯であって、他人の他人のやりとり。感謝の言葉が届かなくて、えらいことになっていようとも知った話ではないのだけれど。