朝のこと記す

 コブシの白い花が傷んで、散り始めている。散り際まで美しい花は少ないか。りっぱなツバキもアジサイも、散り際は傷む。サクラの何よりの特性は、散り際まで美しいことではないだろうか。もとより彼ら花の知るところの話ではない。
 歩いている左上、ネコがブロック塀の上に突如あらわれる。ネコと目が合う。ネコは俺を驚かそうとしたわけではないだろうが、俺が突如そこにいて驚いたのかどうか。俺がネコが驚いたのかどうかと思うのはネコの知るところの話ではない。
 ミニスカートの女の脚、細く長く、筋肉が主張している。アスリートのそれなのか、美容運動のそれなのかはわからない。立派な脚だとは思うが、抱き甲斐が無さそうだとも思うも、それも彼女と彼女の脚の知るところの話ではない。