神奈川県知事選挙のこと

 政治のことなどよくわからんが、日本国有権者の神奈川県民として、メモくらいはしておこう。
 今回の候補者は三人。現職の松沢成文さん、自民党推薦の杉野正さん、そして共産党の鴨居洋子さん(以下敬称略したりなかったり)。結果は以下の通り。
http://www.yomiuri.co.jp/election/local2007/f_kaihyou/yf14.htm
 ものっそい松沢の大勝。松沢は民主党から出てきた人だけれども、石原慎太郎と知事同士で仲良かったりして、そのあたりのねじれが逆に幅広い支持を取り込んだのだろうか。しかし、松沢は知名度知名度言われるが、知事になる前にそんなに顔売れていたっけ? もはや覚えていない。まあ、とくに神奈川がひどくなったということもないしな。

 さて、俺は杉野正について書く。立候補前から杉野氏のことは知っていた。とはいっても、テレビのドキュメンタリーで見ただけが。それは、辣腕サラリーマンが三セクの赤字鉄道を建て直すという内容。ぬるま湯の上にビッシビシのイケイケで自信満々の俺様が乗り込んできて、スパルタでビシバシぶっ叩いて意識改革させるというもの。見たことがない人は、和民グループが学校再建とか、そのあたりを思い浮かべていただいてもいいだろう。
http://www.dfc.ne.jp/report/r_05_3.html
http://www.tkc.co.jp/senkei/backnumber/0403/interview.htm
 で、俺はそういうドキュメンタリーはどのような心持ちで見るのか。俺は間違っても『俺が黒字にしてみせる!』みたいなビジネス書を読んだりするタイプではない。むしろ、三セク型ぬるま湯をうらやましいと願ってやまない人間であって、「うへぇ〜」と胃液だか胆汁だかを分泌させつつ、不整脈で見るのだ。「こんな人間の下に何かの間違いで入ってしまったらどうしよう?」、「こんな人間とは一生つきあわずに生きていきたい」などと。……だったら見るなという話だが、怖い者見たさというのか、マゾなのかはわからんが。
 その、杉野さんが神奈川県知事に立候補したわけだ。これはどうですかね、という話だ。武相高校パンチ佐藤出川哲朗の母校)から神奈川大学という地元民だったというのはともかく、確かに叩き上げで数字を残してきた人間。赤字鉄道を黒字転化させたのも事実。あのノリで役人の意識改革とコストカットとなれば、効果あるのかもしれない。あるいは、神奈川の景気もよくなるかもしれない。ちょっと面白いかもしれない。が、しかし、この人の人生観と俺のそれは一致しない。そう思える。ああいうのは嫌いだ。嫌いなものを県の代表者に選び、役人にそれを押しつけていいのか、それは役人のみに及ぶものか、あるいは自民党から出る意味とは……。
 と、そこで政見放送を見た。杉野は何を言うのか。注目して見た。見て驚いた。そこにいたのはバリバリイケイケドンドンの辣腕叩き上げ系鬼の再建者などではなく、どこかから借りてきたネコのように大人しく、あがりまくった、一人のか弱いおっさんにすぎなかったのだ! おい、あの俺様ぶりはどこへいった! 話が違うぞ!
 ……ということで、俺が誰に投票したかは各自想像されたい。県議と市議についてはいずれまた。