このところよく眠れない理由はわからないのだが

 一月、二月、三月と、六時きっかりにホーホケキョするニワトリのようなホーホケキョに目を覚まされることはあっても、おおよそ目覚まし鳴ってスヌーズスヌーズと朝まで眠っていた俺だけれども、四月過ぎてどうも夜中の三時に目が覚めて、なぜ起きたのかあぐら組んで首一ひねりして寝て起きて午前六時ということが多くて、べつになにか物音がしたわけでもなければ、暑すぎたり寒すぎたりもせず、いかにも勝手に目が覚めて睡眠時間が削られているようでおもしろくない。先に紹介した禅師の本に、僧が「熟睡するときに見る夢とはなんでしょう?」と問い、師答えて「夢を見るなら熟睡とはいわないな」とあって、なにか答えになっていないようにも思えたが、最近俺がハッキリ覚えている夢と言えば、俺はなぜかヤクザの親分の家に住み込んで働いており、料理からトイレ掃除までしていて、トイレ掃除をしていたら親分が帰ってきてあせったこともあったのだけれど、親分は昔奥さんと子供を交通事故で失った過去があるそうで、今でも毎日のお祈りは欠かさないという。