それは赤ちゃんの香りがするのか?

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070501-00000019-san-soci

マゴットセラピーは、壊死した皮膚にハエの幼虫をガーゼとともに固定して行う。幼虫が腐敗した部分を食べ傷をきれいにするとともに、幼虫の唾液(だえき)に含まれる物質が微生物を殺す役目を果たし、傷の回復を早める。週に2回ほどガーゼを取り換え、2〜3週間で効果があらわれる。

 ハエの幼虫、すなわち蛆虫が傷口をきれいにするという、驚きの話。俺はこんな治療法を初めて聞いた。
 ……が、同時にある漫画のあるシーンが思い出された。水木しげるの『昭和史』の一コマだ。ご存じのように、水木御大は戦場で片手を失った、そのときのエピソードだ。俺のあやふやな記憶から書く。ろくな衛生環境も治療体制もないジャングルの中でのことだ。大けがをした腕を軍医に麻酔無しで切断されて包帯をまかれる。包帯を巻かれた腕の根もとは、頭と同じくらい腫れ上がって、大量のウジが湧く。生死の境をさまよう。しかし、あるとき包帯から「赤ちゃんのにおい」がしてきたという。これが印象深い。それによって、生きる力を取り戻して、現代に至る。
 というわけで、まーったく関係ないかもしれないけれども、ひょっっっとしたら、そのときに湧いたウジが、水木センセの腕を結果的に消毒して、回復に向かわせたのじゃあないだろうかと、そんな想像をしてみた次第である。自分の作品に対する記憶違いと、それに上塗りしたこじつけの可能性は高い、と断っておくけど。