愛と幻と失われた楽園と

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070508-00000010-rcdc-cn

ディズニー模倣、問題なしが20%超え。

 ……私が行きたいと思う唯一の遊園地は、横浜ドリームランド。大船から跨座式モノレールで行くのだ。私はもう、失われた遊園地にしか興味は無いのだ。
 ……などと思っていたが、この石景山遊楽園のことを知って変わった。俺はともかくここに行きたい。行かねばならんのだ。中国人の知的財産に関する認知度など知った話か!
 ……などと力んだところで、一泊二日の温泉旅行にすらろくに行けぬ俺に、海外旅行なんて夢のまた夢なのだけれども。まあ、そういう意味では幻の楽園、失われた楽園には違いない。現実にもう、ここまで世界的に注目されてしまったら、先も長くないだろうし。
 それにしてもまあ、エセキャラのクオリティは絶妙。さらにいいのは、平気で着ぐるみから顔を出してウロウロする中の人たち。ディズニーランドの世界では一番の御法度。こいつを破ってへいちゃらなのだ。さすがは子不語怪力乱神、リアリズムの国。「中の人などいない」のファンタジーなどクソ食らえだ(中国文化にも鬼神はうようよしているし、現実に起きたことよりも、記された脚色を重く見る部分はあるが)。
 それにしてもまあ、この件が世界的に注目(記事によれば)されてるとは。俺は小さなころからのディズニー嫌い(完成された潔癖の世界が苦手なのだと思う)なのでなんとも言えないが、あるいはどっかしらあのディズニー、幼稚園のプールの都市伝説で語られるディズニー嫌いってのは、少なからず存在しているのかもしれない。いや、嫌いってほどじゃないにせよ、ディズニーのそういうところに、正面からウンコ投げつける野蛮さに、ちょっと拍手したくなる気分はあるのかもしれない。
 ……と、手放しにほめているようだが、俺にも不満点がないわけじゃない。場所だ、時代だ、改革開放中の中国ってところだ。これがあまり面白くない。毛沢東存命のころの中国だとか、閉ざされていたソ連だとか、あるいは今のトルクメニスタンとか、そんなところで人知れずやっていたほうが面白かった。もっとすごい勘違いがあったりしたに違いない。が、今の中国でなければ、ポケモンやキティまで取り込もうというガツガツさが無かったか。いずれにせよ、これはこれですばらしい現実だ。
 ……などと言っては、モラルある人から「著作権!」とか言われてしまうかもしれん。が、手の届かない遠いところのキッチュさをおもしろがるくらいは許しておくれ。ディズニーランドを愛する人の怒りを買うかもしれない。だけれども俺は一生あなたがたの聖地に足を踏み入れたりはしないので、許しておくれ。