『御緩漫玉日記』3巻

御緩漫玉日記 3巻 (Beam comix)

御緩漫玉日記 3巻 (Beam comix)


 もう漫画方面へのアンテナはずいぶん低く……というか、無いも同然なので、桜玉吉の新刊すら気づかず一ヶ月以上。これはいかん。e-bookoff、新品。

 というわけで、早速とどいて、早くも二三度読んだ。それで、今作、正直なところ、絵は崩れ字は読みにくく……といったところで、これ一冊を誰かにお勧めしようとはあまり思えない。その誰かが玉吉ファンでないとすれば。

 という傾向が続いているように思うけれども、さすがにこのシリーズを打ち止めにするくらいだから、それはもう大変だ。でも、俺のような玉吉好きにとっては、それもまたよしという残酷さ。でも、ともかく、休んでほしいと思うよ。漫画どこまで額面通り受け取るかってのはあるけど、やっぱりなんともね。

 というわけなんだけれども、濃密なエロスの煮詰まったもののこぼれ汁というような、そのあたりにはガンとやられるね。今回は作者の子供のころからのエピソードも多く、ウィタ・セクスアリスという具合。

 というと、まるでエロに満ちてるのか、という感じだが、そんなに多くはない。でも、そのうちの一つ、小学生のころの、大人しそうな同級生との密かな「セックス」的体験の話、これは一話まるまる。で、それの失禁シーン、まるで俺の記憶の中にもあるもので、ちょっと思い返してみよう。

 あれは小学校五、六年のどちらかだったと思う。クラスの中でも一番目立たず、口数も少なく、身体も小さく、色白でどこか人形のような子がいた。ある日の授業終わり、その子の椅子の下に透明な液体が溜まっていたのだ。そのとき少女はどうしたか。困ったような、困ったようでもなく、少し頬を赤らめていたか、いなかったか、いなかったな、ただ無表情にたたずんでいた。なぜか、誰も「おもらししてるー!」と騷ぎたてる雰囲気にもならず、さりとて、女子も寄るに寄れず、異変に気づいた教師が、「みんな次の教室行って」というふうに追い払った。

 今思えば、あれは失禁以外の何ものでもないと思う。が、その当時の俺は、「あれこそが、女子だけ受ける保健の授業の中身なのではないか」と思った。そう確信した。だからこそ、誰もがそれについて口出しするのが咎められるような空気になったのだ、と。女性のそれのなんたるかをよーく知ってしまった今ですら、あれがそれの正体であるような気も、どこかするのだ。透明の、すこし粘り気のありそうな、あの液体。

 向かいの民宿の69を覗く数コマもよかったな。あのあたりが、作者の窃視症的趣味の始まりなんだろうか。やがての野エロ、見る者と見られる者。

 ところで、「マリリン・モンロー脳裡譚」の回のタイトルをアジ卜で解析した結果、「マリリン・モンロー・ノー・リターン」(小説→id:goldhead:20060501#p1、音楽→id:goldhead:20060509#p1)だと判明した。野坂昭如好きなんだろうか。野坂昭如似のおっさんは何か四コマで見たような気がするが。マニアックな(?)ステレオで「もうじきこの世は〜」って聴いたりしてんのだろうか? ステレオ趣味は前からある程度はあったっけな。そういう凝り性、砥石三つ買っちゃうあたりは、いかにも玉吉らしいね。

 で、やっぱり最後ああなってしまうのも玉吉らしいね、と。今後はどこに行くのか。俺としては、それこそ、性表現に縛りのないエロ漫画雑誌で、もうちょっとじっとり、エロ漫画的に直接的でなくてもいいから、そういうエロを、中高年の消えゆく性(id:goldhead:20070525#p1)、それへのあらがい、そこんとこを一つ。
 とか思ってたら、コロコロとかいう話を見たんだが、ほんとうかいな?