グッチ祐三が教えてくれたこと

 以前、サンラータンっぽい汁物を作ってしまった(id:goldhead:20070626#p1)。その後、もうちょっと食材を集めて、やってみた。正直言って、最初のわけのわからない汁物の方が、ずっと美味しかった。先日、グッチ祐三がテレビでサンラータンを作っていた。なんと、酢(黒酢)は、どんぶりにそのまま流し込んだ。その上に、作ったスープを注ぐのだ。それでこそ、酢の風味が生きる。つまりは、卓上で何の気なしに酢を垂らした最初の俺が正解だった。考えてみれば、料理のはじまりはそういうものかもしれない。あり合わせ、なんとなく、何とはなしに。麻婆豆腐は麻婆があり合わせの食材で作ったと伝えられているし、アメリカ生まれの中華料理、「チャプスイ」も似たようなものだ。あまり余計なことをしない。「料理は引き算」と言われるが、それは高い次元で洗練された料理人たちが行う一方、我々の粗末なキッチンや食卓でも通用するものなのかもしれない。
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関連:チャプスイの名前は、先日読んだ『千のチャイナタウン』(id:goldhead:20070703#p3)で初めて知った。ある本からの引用で、それが生まれたときのエピソードや、作った人の名まで出ていた。しかし、ウィキペディアhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%97%E3%82%B9%E3%82%A4)を見れば李鴻章が絡んだ別の説が紹介されており、やはり料理(特にこういった庶民料理)の起源というのを特定するのは、難しいことなのかもしれない。『千のチャイナタウン』で紹介されていたエピソードを紹介しておこう。アー・シンという後のサンフランシスコのチャイナタウンのボスが若き日、金鉱の近くで料理店を開いていたときの話。

ある晩、店を閉めた後で、一群の坑夫がやってきて、なにか食わせてといった。なにもなかったので、食べ物の屑や残り物を大なべに放り込み、スープをかけてかきまわして皿に盛って出した。これは中国では乞食にやる食物であった。これはなにかと聞かれて、アー・シンはとっさに「チャプスイ」だだといった。これは乞食用の食物屑といった意味であったらしい。
思いがけないことにこのチャプスイが大好評で、次の週には、ゴールデン・ドラゴンは、チャプスイの専門店になっていた。むろん、この話が本当かどうかはわからない。

 と、やっぱりわからんよなっと。