アジアカップ 日本対ベトナム

 人種や民族による身体的優劣を論じるのは、知的能力の優劣が存在する可能性を暗に認めることになるので、アメリカなどでは避けるべきこととしているようだ。だけど、実際あるよね、身体能力差。とくにサッカー日本代表なんか見ていると、半分、いや、四分の三以上の試合で「フィジカル面で劣る日本は〜」という解説が入るように思う。それで、見ていてもやっぱりそうだもんな。地球上で見れば隣近所の中国、韓国相手にすらパワーで勝ってる感じはしない。むろん、スポーツはそればかりでないけれど。
 では、今日の対戦相手だったベトナムはどうだったろう。どうも、日本の方が体格よさげだ。そういえば、そもそもベトナム人(ベト人)のベトナムのスポーツというのはあまり思いつかない。タイ人となると、ムエタイであって、強い感じがする。けれど、ベトナムはどうなのだろう。あまり聞かない。むろん、ベトナム戦争があったり、その後の社会体制や豊かさなど、いろいろな側面もあるだろうけど、とくにフィジカルで優れているという印象はないな。小学生のとき、同級生にベトナム人がいたけれど、体育は平均的だったっけな、とか、そんな個人的思い出はあるけれども。でも、でもだ、日本がKO負けしたアメリカ相手に金星を挙げてるのがベトナムだ。ひょっとしたら、侮れない相手なんじゃないのか。いったいどんなサッカーをやるんだ? とちょっと興味を持って見た。
 そうしたら、前半から、スピードと組織力、カウンターで日本を苦しめるじゃないですか。よく走ってライン際諦めず、神出鬼没じゃないけれど、あるいは昔々日本が世界を驚かせた感じだろうか。それで、なんか日本がとまどってるなって思ってたら、いきなり一点ズドン(ってオウンゴールだけど)。こういう試合、開催国と引き分けで両者決勝進出、みたいなときは、あるいはそんなに無理しないような展開になるのかと思ったら、違うのね。で、すぐに反撃の日本、追いつき追いこし突き放し。その後は、ボール回して試合を殺して(昨日聞いた言葉を今日使う)、きっちり悪役もこなしてみせたと。
 地上波で日本代表の試合を気軽に見られるようになってどれくらいになるかわからないけれど、なーんとなく、こういう日本代表を見られるようになったのは最近のような気がするけれど、サッカーには詳しくないのでわからない。決して「日本がアジア最強! 相手はみんな格下!」なわけではないだろうけど、「強い相手に健闘し、格下に苦戦する」カラーばかりでなく、有利なときに有利な試合をする、そのあたりもあるんだろうな、とか。
 それはともかく、結果的にベトナムも次に進出できて、サポーターも大喜びで、そのあたりは日本が悪役になりきらずによかったかな、とか思った。なんか選手もサポーターもベトナムはいい感じだったし。って、人のことはどうでもいいか。日本の次の相手は、フィジカル的にも格的にもちょっと上(……と思ってたら、ランキングは日本が上だったか。でも、ワールドカップで負けたからな)っぽいオーストラリア。ここは挑む気持ちでがんばってほしい。