スティルインラブの死

http://www.nikkansports.com/race/p-rc-tp0-20070803-236165.html

 史上2頭目の3冠牝馬スティルインラブが2日午前7時、小腸の腸重積(腸の一部が内部に滑り込んで二重の状態となり、腸閉そくを引き起こす病気)のため死んだことが、けい養先の下河辺牧場(北海道日高町)から発表された。

 ああ、俺が競馬から少し気持ちが離れていたときの三冠牝馬が死んでしまった。戦績を見返し、オークスメモリーキアヌを買ったこと以外は思い出せない三冠競走、俺がスティルインラブを後追いしたのは〇四年のエリザベス女王杯だった(id:goldhead:20041114#p1)。三冠に乗れなかったからこそ、そこで取り返したかったのだった。三冠の光に期待したのだった。そこで目の当たりにしたかったのだ、三冠を。その願いは破れ、そして俺は、繁殖牝馬としてのスティルインラブに期待したのだった。三冠の分も、取り返せなかったエリ女の分も、まとめて取り返したいと思ったのだった。メジロラモーヌ以来の偉業というに、おそらく歴代最強牝馬議論の俎上にはなかなか載せられぬスティルインラブ。だからこそ俺は繁殖で期待できると思ったのだった。確かに三冠以降は苦しんだが、だからといって三冠の価値が減るだろうかと思ったのだった。乗っていなかったからこそ、見ていなかったからこそ、そう思いたい不可解さがあるのだった。そのスティルインラブが一頭の仔を残しただけで死んでしまった。その一頭の忘れ形見に取り返しお願いできようか? たった一頭の馬に賭けられようか? 答えが出るのはまた何年か後のこと。その先で俺は競馬をできる環境にあるだろうか。とはいえ、俺がスティルインラブエリ女で買ったときももはや三年前で、もうここで日記を書いていたのであった。めまいがするような時の早さのなかで、すれ違ったものはすれ違ったままなのか、取り返せるものはあるのか、留まりつづけるものはあるのか、さらばスティルインラブスティルインラブはどこにいるのか?