アブノーマル無題

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20071022i305.htm

都施設でポルノ漫画即売会、過去6回開催

 はじめに断っておくが、俺はコミケも含め、同人誌即売会というのに行ったことがない。行ったことがないので、現場の空気や運営の実体が想像がつかない。つかないけれど、その上で、どうにもわからん……のは、公共施設を借りて「アブノーマルカーニバル」やっちゃうあたりの……感覚、感覚というより、趣味かな。
 そりゃあもちろん、エロは文化であって、その嗜好もさまざま。見たくない人間に見せつけたり、判断能力の劣る子供に関係しなければ、自由に行われるべきものではある。わいせつ物なんたら法とかち合わない限りは、表現の自由のあるものだ。だから、この施設が即売会を拒否できる正当な根拠を、法に求めうるのかどうかはわからんようなところもあるのかもしれん。
 が、感覚的にやっぱりわからない。エロもエロ、それも倒錯趣味のものなのだから、都立産業貿易センターは似合わないんじゃあないかと思う。もうちょっと、なんか、暗くいところで、こっそり、気づかれないようにやるほうが似合うんじゃないのか? そういうものでもないのかな。いや、そういう場(って、どんなのか具体的にはわからんが)もないのかな。いや、たとえばこういう施設を使うにしても、「現代詩創作研究会」とか「関東ローム層地質研究誌交換会」とかのふりをして、「下末吉ローム降下軽石群研究」の表紙めくったらケモショタ四肢切断みたいな、そういう方向がマニアックでいいんじゃないだろうか。
 いや、そんなのはありきたりでつまらないエロ世界のイメージだろうか(こち亀でそんなネタあったっけな。オヤジのエロ写真交換会だったけど)。むしろ、都立産業貿易センター内の「地場産業メーカー有志ファミリーセール」の横で複乳妊婦だるま女もののエロ同人誌をやりとりする方が、ずっとアブノーマル。そういう感じもするだろうか。いや、そうなのかもしらん。
 けど、やっぱりその、下手に目をつけられてしまうよりも、アングラはアングラの、あんまりお上の目の届かないところでやった方がいいんじゃあないかと思ってしまう。「こういったアブノーマルも社会は受け入れるべきである! 表現の自由ばんざい!」「異議無ーし!」的な、政治的な主張があるんなら別だけれども、趣味や嗜好を楽しみたいだけなのならば、こっそりやってた方が趣味者/非趣味者ともに住み分けられて幸せというところもあるんじゃねえかって。
 いや、わからん、わからんよ。俺は現場を知らない。たぶん、こういう施設をこういうことに使うってのは、このイベントにしたって6回目、(エロ)同人世界では長い歴史があったに違いない。長い歴史の中で、とくに問題視されないできたものかもしれない。それにもちろん、日陰に一歩退くことが、消滅への一歩かもしれない。どこかで戦うべきライン、表現の権利のために戦うラインはあると思う。では、そのラインはどこか、それは。
 ……って、こういう件について、表現者でもなければ消費者でもなく、現場も何も知らない俺が何を考えても詮無きこと。ただ、本来は陰で行われるべきもの、ひっそりと世間の目に付かないところでやるべき(この「べき」が公共の正義側の上からの視線、高圧的、排他的なものではなくとも、あり得ると思うんだよなぁ)ものが、知らぬ間に突出、肥大化して、やり玉にあがって、逆にそれほどひっそりとしなくてもいい程度のものまで巻き込んだりするような、そういう話は面白くない、と、思ったりするあたりがあるわけで、なんとなく気になってしまった次第。