川崎競馬場、2007年10月31日

goldhead2007-11-01

馬のいない川崎

 一コーナーに向かうスタンドの端、植え込みの中から三匹の子ネコがこちらを覗く。あの大きい生き物はいないのに、なぜ人間がいるのかにゃど思う。トイレから出たネコ好きの俺、ネコを見る。大人しそうなじいさん一人、ネコを見る。西日が影を作る。向こうでハトに菓子パンをちぎって投げていた金髪のおやじ、ネコに気づく。こちらに来てパンのかけらをネコに投げる。ネコ、おどおどしながら近寄って食う。追いかけてくるハトの群れ。おやじ、ハトとネコの間にパンのかけらを投げる。ハト、群がって食う。俺、見る。大人しそうなじいさん、見る。おやじ、ネコにちいさなしゃがれ声で語りかける。「よぅし、いまだ、いま行くんだよぅ」。ネコ、目はらんらんとして、低くかがんでハトを見る。尻尾を振る。行きはしない。「いま行って、捕まえろぉ」とおやじ。ネコ、見るばかりでへたったまま。投げられるパン、群がるハト。パンが少しネコよりにおちた。急にハトの群れ動きを止める。ネコのラインを見抜く。ネコは見るばかり。「いけぇ」とおやじ。行かぬネコ。ハト1羽舞い上がって、みな舞い上がって去る。俺きびす返してパドックへ行く。

馬券前半戦

 4レースからの参戦。季節柄か中央未勝利からの転入馬多くつかみがたい。馬連ボックス中心、安めをひっかけて一進二退、単勝ヒモ抜け一進二退。7レース少頭数のオープン特別、ベルモントギルダーキンセイブレイドキンセイブレイドベルモントギルダー。三着にサンキョウチャイナとシーサーハーン。自信の三連単。あえなく消えるキンセイブレイド。最後方から二着にシーサーハーン、山田信大らしい追い込み。8レース、母がアングロアラブ、父ブライアンズロマンの馬を見る。ボックスに入れるが、これも安め決着を拾うのみ。
 川崎にはじめて来たのは十年前。俺は俺が一番年下だと思った。十年経って今、やはり俺が一番年下じゃないかと思う。成長をあらわす比喩などでなく、現実として。トークショー付近以外、ほとんど、年下と思える人は見ない。

宇野和男、清水成駿、小島友実、そして内藤大助

 8レース後、トークショー開始。場内アナウンス。急に大毅のことをまくしたてる酔っぱらい。パドック、背景にパネル、パイプ椅子、テーブル。冷えたペットボトルが四本。まずはじめに宇野アナ。「ポンサクレック戦を実況した宇野和男です」とあいさつ。拍手喝采。気づかぬ間にボクシングファンも増えていたのか。
 ついで、仰々しい音楽に乗って清水成駿。生まれてはじめて生で見る清水成駿。高そうな黒いスーツ、少し猫背。病気がちのようだが、顔の印象などは写真で見る通り。寒い中のこともあってはじめ咳き込む。
 小島友実、通称コジトモ、名前しか知らなかった。美人。横にいた内藤目当ての若い人たち、しきりにきれいだという。「こんな人でも叫ぶのか」などという(偶然この子らの横にいたが、フジノウェーブウイニングランをかっこいいと言い、クラシックではクーリンガーを買っていた。競馬人気に必要なのは、「白馬」なのかもしれない。しかし、この日の白いの、あれだけ青いのを弾いておいて審議にならないのは意外だった)。
 そして、内藤、内藤大助。大音量のRomanticが止まらない。長袖シャツ一枚(二回目登場以降は上着着てました)、肩にかつぐはWBC世界フライ級チャンピオンベルト。内藤だ、本物の内藤だ! 内藤選手の戦績を読み上げる宇野アナ。さっさと着席してしまう内藤。「座るの早すぎ!」のツッコミ。観客笑う。
 万事この調子。内藤はテレビで見る印象どおり、とてもいい人のように感じる。そして、やけに面白い。ちょっとした間、一つでみんな笑う。不思議な人だ。時の人というだけでなく、このキャラクタがメディアをひきつけるところもあるように思える。この日も、まったく知識もなにもなく、おまけに馬までいない競馬のイベント、観衆は9割馬券おやじ。そのアウェイでも、誠実に振る舞ってくれる。アナと清水が話している間、小声で小島さんにレクチャーを受ける。こういう姿勢、とてもうれしい。ついにはサービス精神かなんなのか、元カノのフルネームと名前の由来まで漏らす(ある馬を選んで、その理由は騎手の名字が……という展開)。あるいは、のせられやすいのか。

ボクシングの話

 ボクシングの話。「今回のJBCは中央と地方の……」と話が及び、アナが内藤に「内藤さんは東京のジムで話は逆だけれど、やはり施設や練習相手の整っていない地方の選手が後楽園などでやるのは大変ですか……」などと振る。それに対して内藤、「ボクシングの場合、地方の試合の方がやりにくい。地方に行って判定になったら絶対に勝てない」と、ちょっと本気で愚癡る。先の試合のことを「済んだこと」とテレビで発言する内藤とは違ったイメージ。自身のことだろうか? しかし、ポンサクレック以外に負けたことはない。ならば引き分け、坂田健史戦のことだろうか? 
 ……と、思うも、坂田も東京・協栄ジム、調べれば場所も後楽園。すると、あの発言はジムの仲間について、あるいはボクシング界全体を憂えてのもの。調べてみれば、地方判定、地元びいきは協会で議題にあがるようなことのようhttp://mainichi.jp/enta/sports/21century/archive/news/2007/20070519ddm035070149000c.html。さすがは王者の見識。
 ほか、ボクシングのみについてのトークもあったようだが、競馬の話題が切れるとなるときびす返して馬券購入の俺、聞いてないところも多い。最後、アナがここだけの話としながら「次戦はタイで」と振ったが肯定も否定もしない内藤、場内からは「内藤がんばれよ!」の声援、声援というより怒鳴り声。「こんなとこ来てないで練習しろ!」との野次も飛ぶ。

清水野次られる

 野次。清水への野次。清水成駿。元1馬。現在は東スポ馬単三國志」ほか。長い予想家生活。人から恨みを買うのもその稼業か。冒頭からろれつ怪しくなに言ってるかわからぬ野次、野次というか叫び。ほかのオヤジが「うるせえぞ!」と応戦、「聞きたくないならあっちに行ってください」と清水、「仲良く聞きましょう」と司会、笑う内藤。
 終盤、別の野次。予想、その結果。その場ではっきりとする舞台。二階席から。「前に外したら坊主になるって書いてたけど、坊主になってねえじゃねえか」という内容。今回の外れについてもディスる。これがしつこい。清水、ついにキレ気味に「もう川崎には来ません!」。アナ、「そんなことないですよね。また来てほしいという人、拍手お願いします」とフォロー。わきあがった拍手、「また、来ます」と清水。拍手が起こらなかったらどうなったんだと俺、丸めた新聞紙を叩きながら思う。立ち去る清水成駿、タバコの煙、後ろ姿、男の哀愁だぜ。

馬券後半戦

 話は前後する。
 JBCスプリント。昨日書いたとおり、俺はプリサイスマシーン目当て。もちろん、トークショーの予想を聞く。メイショウバトラー推し中心。しかし、清水、コジトモさんともに要注意としたフジノウェーブを押さえから格上げする。馬券はプリサイス単勝、中央馬(ノボ以外)、フジノ、ベルモントサンダーへの馬連
 スタート。大モニタ正面で見ていた俺、いきなりプリサイスを見失う。カメラが追っていってどこにもいない。いや、いた、先頭に戻って差のない二番手。まさかそこについていたとは。スロー気味だったのか。四角、そのまま、そのままモードの俺。抜け出すプリサイスマシーン。しかし、外から襲いかかる芦毛の馬体。フジノウェーブ。ようし、差しきってしまえ、いや、単勝があるから二着でいい……などと煩悶するヒマもなく交わすブラックタイアフェア産駒の牡馬。あとは、アンカツに、二着、二着とつぶやくしかない。そのままゴール。
 馬券、大正解。手元の走り書きでは20倍見当のはずが、払い戻しで出てきたのは万シュウ。なんの間違いか万々歳。三連単、三連複などとは言うまい。何かと問題があったらしい御神本訓史、G1級初勝利。俺は御神本のストラップをつけていたこともあった。単勝が獲れなかったのは残念だが、おめでとう、おめでとう。
 コジトモさん、予想時、回顧ともに御神本のトラブルについて触れたが、観客反応薄い。そういえば俺だって、どっかネット、たぶん2chでちらっと読んだような、読んでないようなという程度。競馬場ではやけに事情通らしい会話をするおっさんなどもいるが、果たして。また、コジトモさん、クラシックの方でキングスゾーンを△に押さえ、例の件をちらっとにおわせたが、こちらもリアクションなし。例の件について調教師の名前を割り出すこと、知ること、ネットでは容易すぎることだが、そうでなければ面倒なこと、興味の埒外ということやもしれない(地元名古屋でどうなのかは知らない)。
 JBCクラシック。こちらは昨日書いたとおり明確な狙い無し。おまけにJBCスプリントで勝ち確定させたので気楽。清水成駿が「2000でのブルーコンコルドはそこまでの存在ではない」と強調。手元のダービーニュース、ゲスト予想の長谷川仁志も同様のことを書いている。せっかくなのでブルーコンコルド軽視に転じる俺、別の本命さがし。清水はサンライズバッカスを推すが、俺はどうもバッカスの地方での走りが信用できない。いや、俺、清水信者ですけれども。
 で、そこでフリオーソトークショー中にもかかわらず、あのパドックでの奇抜なファッションに観客がざわめいたフリオーソ。馬体はできているように見える。少なくとも、覇気を失ったシーチャリオットのようではない。フリオーソ本命。対抗も先日書いたとおり能力最上位と思うヴァーミリアンに。たとえ2000万全でなくとも、ブルーコンコルドに勝てるならそのレベル。フリオーソ単勝、本線ヴァーミリアン。その他中央馬、ルースリンド
 ……というわけで、嘘みたいに連続的中。俺最高。この日の川崎は最高だった。なにもかもよかった。今後は馬の走らない川崎、大井の大レースは川崎で馬券を買う。俺が死んだら、魂はこの日の川崎競馬場に飛んでくる。長くなったのでいいかげんに切り上げる。