『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』、『イノセンス』/監督:押井守

GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊 [DVD]イノセンス スタンダード版 [DVD]
 サイバーパンクっぽいこのごろなので、この二つも再見。最初に見たときより、こちらの知識、SF、あるいは攻殻機動隊への知識も増していることだろう、と。
→『イノセンス』の初見感想(id:goldhead:20050502#p4)
 で、一作目の方。これ、昔、レンタルしたビデオをダビングして持ってて、昔に何度も見たやつだけど、今見てあらためて気づいたことあって、案外こぢんまりしてるんだなって。各シーンどれも印象深いところあって、いかにも見覚えあるわけなんだけど、よう考えたら、あんまり量がない。というか、時間自体短かったんだなって。で、尺から考えたら、原作からかなり多くの要素ぶった切る必要もあったのかなとか。でも、人形使いに集約していく感じはあんまり無いかなとか。それと、少佐はもうちょっと美人でもよかったんじゃねえかって。
 で、それどころじゃない少佐の『イノセンス』。こっちはボリュームあって豪華だなって。それで、最初見たときようわからんで済ませていたもんも、原作とかちょっと知識増えた今ならというところも。あと、創作ノート(id:goldhead:20050711#p2)とかも。そんで、もっとデコイ、デコイ言ってるかと思ったけど、そうでもなかったな。原作二巻の対スターバト・マーテル戦とかこれで見てみたいなとか。
 そんでもやっぱり、こりゃあさあ、説明不足すぎだわな。一本の映画として、こんだけのボリュームのもんとしては、ちょっと致命的かもって、逆に今になって思うわ。雰囲気に流されるだけでも面白いところはあると思うんだけどさ、せっかくのボリュームだしさ、なんかもっと説明してくれてもいいんじゃねえのってさ。
 でもさ、その、これも、事件の方に集約していくというか、そういうミステリ? というか、警察物? としてのビシッとした筋は無いなって感じはあったわな。その、ドラッグストアでのあれがキムしかいねえって、その繋がり弱いんじゃね、みたいな。あと、最後のガイノイド集団決起はなぜに? とかさ(待遇改善のデモだったり)。でもさ、街とか犬とか、人形とか身体とか、そっちに逸れていくのも好きだけどな。日常がな。
 この映画二作、原作との違いっていったらどのあたりだろうか。コミカル要素と色気、それと少佐の正義感、フチコマ、そのあたりが取っ払われているって感じか。まあ、これはこれでアリじゃんって思ったけど、そこらが無いのはナシみたいな意見も当然ありそうだよな。
 18世紀の人間機械論が電脳と義体で復活というが、機械論でない時代があったのか。そんなに人間は特別なのか? 最近だってもう、現実の方でさ、サイコミュのおばさんとかいるしさ。そうだ、ゴーストだ、霊性霊性について考えなきゃいけないのか。犬に仏性があるのかどうか。鈴木大拙がどっかで人間の生は二つ、動物は一つで、その差は自らを認識することができるか否かってところだったかと思う。犬のイノセンス、人形のイノセンス。はてさて。