2007年JRA賞について

http://keiba.radionikkei.jp/news/20080108K03.html
 全員一致の多数決は無効になる。正常な状況で、皆が同じ意見ということは有り得えないからだ。
 ……とかなんとかいうことを、イザヤ・ベンダサン山本七平が言っていたような気がする。そして、それに対して、ユダヤにそんな決まりや風習はないとかいう反論も見たことがあるような気がする。しかし、俺はその発想が好きだ。由来があるのかないのかどうかもわからないが、愛すべき考え方だと思う。
 というわけで、JRA賞発表後にあちらこちらで見られる「最優秀3歳牡馬にアンバージャックを選ぶようなやつは投票権剥奪しろ」的な物言い、俺はあまり賛成しない。そりゃあ、アンバージャック選ぶようなのは、見識も疑われて当然だし、賞の意味がわかってるかどうか怪しい、意味不明の票だ、阿呆な票だった。だけれども、それでアンバージャックが最優秀3歳牡馬になったかといえば、なってないわけだ。もしも多数決でアンバージャックが最多票を得たら、何か完全におかしい。JRA賞を三人くらいの人間で選ぶのに、一人がアンバージャックを推してもおかしい。しかし、現行の総票数から考えたら、アンバージャック一票混じってどうっていうことはない。300近い人間がいたら、変なのも混じってくる。まともな人の勘違いも入ってくる。しかし、入ってきても、結果が真っ当の範囲内なら、混じってくるのいいじゃない、と。というか、もしも混じってこないようにしろというなら、獲得賞金とかレイティングとかポイント制とかにすりゃあいい。でも、それはつまらんでしょう、と(そういう意味で、最優秀2歳については見直してもいいような気がする)。
 と、去年というか一昨年の話をいくらしてもしゃない。今年の票を見れば、たとえば年度代表馬。俺は、ここでヴァーミリアンに5票入ったりしてるのが、悪くないと思うのだ。それに、成績的には圧倒的に差が付いてしまったが、歴史的偉業度を考えてウオッカに入れるのも見識の一つ。しかし、その上でアドマイヤムーン、それでいいじゃないか、と。
 ……って、人様の意見を云々ばかりしてもあれだし、自分がもし記者だったら、と。
 年度代表馬は、うーん、正直悩む。ウオッカははっきりいってダービー後冴えなさすぎるのは確か。が、ダービー牝馬が今後何年後に現れるのか。それを思うと、ちょっと捨てがたいところがある。この年に、競馬史に刻まれるできごと。しかし、アドマイヤムーン。トレード価格もまた日本競馬史に残るできごと。ここは実績も加味して、やはりアドマイヤか。いやあ、ダイワスカーレットメイショウサムソン、でも、なあ。 
 最優秀3歳牡馬、最優秀4歳以上牝馬……、これ、該当無しではどうだろうか。コイウタはたしかにJPN1勝ちはした。が、JRA賞として、その年度の最優秀といえるほどだろうか。そして牡馬。今年の3歳牡馬の印象は……、該当無し的というか。しかし、アサクサキングスの成績を見返せば、ダービー2着、菊花賞勝ちのほか、きさらぎ賞なども勝っていて、悪くはない。のだけれど、いや、たしかに最優秀ではあるけれども、むむむ。
 あー、いや、やっぱ難しい。あとは、結果通りですんなりかな……。最優秀父内国産馬、これも今年限りだろうか。じゃあ、これはウオッカダイワスカーレットどうなのよ、となると、また惱む。なんとなく、年度代表馬ではウオッカ>ダスカだけれども、最優秀となると……、いや、しかし……、賞の意義が……わからなくなってくる。
 というわけで、何かの間違いで、最優秀ダートでメイショウトウコンに一票行っちゃってもいいじゃない、とか思ってしまうのだけど、甘いのかなあ。記者投票がおかしいからと、ファン投票要素入れたら、それこそもっと変な票混じってくるだろうし(むしろ、ファン選出賞みたいなのはあっていいと思う)。ああ、それと最後に、カラジに特別賞やれるもんならやってやってくれと思うのだけれど、まだ来年、いや、今年の春があるってことかいな?