一口馬主への憧憬

 正月、ふと、東スポの広告。一口馬主クラブの広告。一口。馬主。銀行に預けていても小銭。ミニ株、投信つみたて、奏功せず。分割払いなら、買えるか。会員費とか、毎月の預託費もあったか。税制がどうこうという話があったか。どんなものだったか。しかし、この馬のこの母にこの父は気になる。DVD無料。QRコード。資料請求。ついでにもうひとつくらい。ギャロップめくる。QRコード。資料請求。
 正月明け。会社のポストを占有するドレッドノートメール便。かなりツカのあるカタログ。表紙はミニチュアに見える競馬場風景。これには見覚えがある。本城直季だろ。しかしなんだ、この立派な本は。紙、デザイン、写真。一冊三千円で売ってもいいくらい級。ペロッと8Pくらいのパンフ、そしてDVD1枚、そんなものを予想していた。いいのか、こんなの配って。
 さらに数日後。会社のポストを占有するアドミラル・クズネツォフメール便。ツカは先のものよりもない。しかし、紙の光沢が違う。金のかかったデザイン。さらにDVD3枚。いいのか、こんなの配って。
 俺は、ただただ申し訳なく思った。申し訳なくなるくらいなら、買え。いや、しかし。しかし、やはり、冷静になってみると、そんな余裕は。余裕はない。のだけれど。いや、しかし、なんだろう。こないだ、ワイルドファイアーとマッハジュウクンの馬連、あれを獲っていたら、かなり、買うのに、傾いた、はず、だし、まだ、チャンス、あるか、な。