『ゾー,アイム・ジャスト・ミー』マヤ・ヒラサワ/"Though, I'm Just Me" Maia Hirasawa

ゾー,アイム・ジャスト・ミー
 Maia Hirasawaと書いてマヤ・ヒラサワ。日本人とスウェーデン人のハーフ。スウェーデンでヒットしているらしい。ラジオで「ビョークか?」と思えるような歌声を聞いて検索して知った。歌唱法やメロディについて云々はできないが、声がビョークっぽいのは否めない。しかし、いくら俺がビョーク好きで、「もうちょっとキャッチーでポップなビョークがありえたのではないか」とつねづね思っていたとしても、それだけでアルバム買ったりはしない。曲にやられたから買ったのだ。
 やられた曲は"Star Again"(……いっつも思うが、外国のアーティスト名や曲名をアルファベで書くべきか、カタカナで書くべきか悩む。下手にカタカナ表記するより原語表記の方が筋が通ってると思うが、全角文字中の半角はあまり好きでない、かといって全角英数字はもっと嫌)。

You were sinking lower soon at the bottom of the sea
And I was sinking lower soon at the bottom of the sea
Five, six, seven years can’t imagine how it feels

 CD買ってから気づいたが、男性ボーカルとの掛け合い曲。音色はシンプルだけれども、実に壮大なイメージ。歌詞も当然あとから知ったが、日々人生の海底あたりに沈んでいる自分には、おまけに本命馬が馬群の中に沈みがちなぴったりだ。とくにこの引用箇所は癖になる。
 ほかにもいい曲揃い。"Still June"の歌い出しの部分なんかは、えーと、誰かすばらしい歌手の素晴らしい歌を思わせるし(ここまで出かかっていて名前が出てこない)、女性ボーカルとの掛け合いが楽しい"Crackers"や"I found this boy"なんかのノリのよさも好き。"You and Me and Everyone We Know"では子供のコーラスなんか入ってる。本来、最終曲の"Roselin"へのまなざしというのも、一筋縄でないところか。あとは"Mattis and Maia"が"Star Again"に続く自分の中のヒット。
 そんなわけで、おおいに気になってしまったのだけれど、どうなのかね。俺みたいなおっさんがこう、なんというか、ガーリー(?)、でもないか、でも、パッケージとかそんな雰囲気の、でも好きなのはなんだろうね。charaとかチャットモンチーとかソフィア・コッポラ好きで悪いか、というか、どちらかというと、アイドル的に見るのではなく、共感で見てしまうようで。でも、どうしても共感しようがないだろうという性差の一線もあるはずで、そこの微妙さや共感しようの無さも感じずにはおれないの。変なの。