★ネタバレ注意★
監督:藤田敏八、脚本:大和屋竺……とすごい名前が並んでいるのだろうけど、あまり詳しくないのでよくわからない。ただ、主演:桃井かおり、桃井かおりの日活ロマンポルノ。桃井かおりはいつも桃井かおりだが、はたしてこの昔の作品の桃井かおりはどうなのかというと、おお、若い、若くて丸い感じがする。するけれども、やっぱりこの気だるい感じは桃井かおりなのだなあ。まあ、俺が桃井かおりにどれだけ詳しいかというと、それもSK2といったところなのだけれども、ともかくおっぱいは思ってたより大きかった。
俺が最近よく観ている映画はキム・ギドク。軍人式映画美至上主義でわけのわからんところに連れて行かれる。こういう映画は、あんまり日本映画にないんじゃないかと思う。今の日本映画には。そのあたりも、圧倒的に視聴作品数が少ないので言い切るわけにはいかないけれども。でも、ともかくこの『エロスは甘き香り』には、そういうわけのわからないパワーがある。強えーって思う。豚の頭ぶった切るシーンとか身震いするわ。
それで、ストーリーなんだけど……。
エロスは甘き香り(1973) - goo 映画
あれ、なんだこれ! あらすじがぜんぜん違うぞ! いや、登場人物の名前や基本的な立場は一緒だけど、話が違う! なんだろう、映画に別バージョンがあるって話は無いようだし。これってあれか、なんかわからんけど、制作前のシノプシスとかそういうのだろうか? 俺がこの目で観たシーンを再構成しても、この話にはならんように思う。いや、なるかな? いやいや、ならんような気がする。濡れ場がぜんぜん違うもの。まあ、ネタバレになるけれども、比べてみよう。
ある日、酔った雪絵を、浩一は衝動的に抱いてしまった。雪絵はそれを待っていたかのように彼を迎え入れた。
雪絵は確かに浩一に興味を持っていたし、待っていたかのようだけれども、作品の方では泥酔して前後不覚のところをやられちゃう。それも最終盤の方だ。
昭は仕事をしない浩一に意見するかのように、売れない劇画を描き始めた。今度こそはと、描き上った作品を出版社に持ち込んだが、やはり不採用だった。失望にやけっぱちで飲んだ酒のいきおいで彼は悦子を抱いてしまった。そんな彼を悦子はやさしく、つつみこむのだった。
これで一種のスワッピングになるわけだけれども、これが映画のクライマックスの絡み。なおかつ、雪絵が浩一にやられた直後に仕返しとしてやるわけだ。なおかつ、それを浩一がカメラで撮るわけ。口にフィルムくわえて、弓を引くようにカメラ構えて、連写、連写(いったい何枚撮りやねん?)、これがかっこいい。もちろん、悦子は昭にも好意を抱いているものの、カメラの方を見るわけよ。それで、なんか家の外の犬小屋が燃えてるわけ。でもって、雀は居酒屋のおかみだけど、男の方はよくわからんし、実際に主人公と雀はやらないわけで、ラストあたりの使われ方を見ても、この二人が全体を支配しているような妙な具合もあって、ともかく観てください。
しかしまあ、なんというか、ヒモの鬱屈した、青春の鬱屈したあたりのそれがな。男の方が、「頼むから追い出してくれ!」って言うわけじゃん、そこんところだよな。それだよそれ。俺もヒモじゃあねえけれども、女に対する依存というのは、それはそれは根深いところであって、でも、ぬくぬくしてたいじゃん。主人公が年上の雀の中に入りたいみたいなこと言ってたけど、子宮に入りたいって半村良じゃねえけれども、そこんところだよ。それでもって、そのあたりが米軍払い下げ住宅である住まいの外にある日米国旗がペイントされた犬小屋と関係しているのか、雀の店の籠の中の鳥と関係あるのかとか、ようわからんけど、エロスはあんまり甘い香りしてねえよって、何言ってるかわかんねえけど。
まあ、ともかくこのあたりのロマンポルノとか、やっぱり観ていこうと思ったのであった。
関連______________________
- 『バージンブルース』……藤田敏八監督。これもわけわかんねえところがあって素敵。
- 『ツィゴイネルワイゼン』……藤田敏八出演。まったくわけわかんねえところがあって素敵。
- 『荒野のダッチワイフ』……大和屋竺監督。これはもうかっこいい映画だったぜ。
- 『太陽』……桃井かおり出演。ついこないだ観たばっかりだった。役の落差が……ノーコメント。
- wikipedia:長谷川和彦……助監督。これも有名な人らしいし、名前に見覚えが、と思ったら、昔「近代麻雀」あたりで見た名前だった。