株主様、配当金を受け取る

 俺は株主様なので、この時期になると郵便受けに企業どもからの封筒が届くのである。配当金をお納めしますというのだから、殊勝である、誉めてやろう。
 俺は株主様なので、引換券のような何かを持って、郵便局に行くのである。株主様は郵便局などというものとは無縁なので、どこに並ぶべきかわからんのである。すると、窓口のおばちゃんが声をかけるので、「これなのだがね」とぴらぴら見せると、黄色いボタンを押して、整理券を取れというのである。さらに、日付を記入し、捺印して待てというのである。
 俺は株主様なので、言うとおりにして待っていると、機械の声が「13番ノオキャクサマ」と呼ぶのである。株主様は窓口に行って、「これなのだがね」と券を出すわけである。受け取った局員は、曇った顔をして電卓を叩く、一通りやってもう一度叩く。後ろの回転式金銭吐き出し機が空くと、そこから金が出る。出てきた988円という小銭、ぞんざいにカルトンに投げ出され、株主様、そそくさと小銭拾って、「へい、すいやせん」という心持ちで、逃げるように郵便局から出る。株主資本主義って何かね?