『オリエンタル・エレジー』アレクサンドル・ソクーロフ

goldhead2008-07-15

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 現代美術展とかに行くわけじゃん。それで、展示品の最後の方に来たらさ、なんかどっかからおどろおどろしい音楽とか変な音とか聞こえてくるわけ。それで、そこんところに行ってみたら、なんか画面に映像芸術映ってて、腕組みして十五秒くらい観て、「まあ、行くか」となる。
 ……というような感じであって、はっきりいって芸術のことよーわからんので、これを観て何をどう言っていいのかわからん。だいたい、全体的に暗くてもやもやで、最初の方、ロシア語で「ニエート、ニエート」言ってるあたりでもう眠くなる。でも、たばこ屋の看板触って、憂鬱そうなロシア語で「Магазин сигары」とか言われると(実際なんて言ってたか知らん)、なんだかこんどは面白ビデオみたいに見えてきて、思わず声に出して笑ったりしてしまう。「つげ義春を映像化するんなら、ソクーロフだな」とか思ったりしてしまう。あと、「私の鶴」とか言って、鶴出てきて、「あー、『太陽』のもっとも印象的なシーンの一つである皇居の鶴って、お前の鶴だったのかー!」とか。それで、老人の語りとそれに被さるロシア語と、縦書き楷書体の字幕にくらくらしつつ。
 しかしさ、これの取材を受けるというか、材料になった老人も、まさかこんな風に料理されてるとは思わんよな。「外国人が撮った日本」なんて生やさしいもんじゃなく、もうなんというか、完全にソクーロフ・ワールドというか。どんなワールドかわからんが、すごい島だな。うーむ。
 まあ、なんだかんだで、だいたい二回観た(二回目は『太陽』のオフィシャルブックめくりながら、本作への言及がないか探しつつ)わけであって、まあ借りて損はなかったような気もする。が、いったいどこがなんだと難しいことは言えないし、言えるようになりたくなるわけでもねえけれども、今後なんかこういうの観たら、普通の映画にこういう要素混じってたら、「ソクーロフの『オリエンタル・エレジー』みてえだな」とか言うようになる、そうは思ったのであった。
関連______________________

  • 『太陽』……これはずいぶん普通の映画だったなあ。
  • 『太陽』オフィシャルガイドブック……『オリエンタル・エレジー』への言及はほとんど無かったなあ。ただ、たとえばこういう老人たちの語りを聞いて、ソクーロフが「なぜ日本が二次大戦でしたようなことができるのか理解できない」と思っても不思議じゃないだろう、とかね。