個人とチームとオグシオと

オグシオ、散った 強敵・地鳴りの観衆…ペースつかめず

http://www2.asahi.com/olympic2008/news/TKY200808110411.html

 この試合も少しだけ見た。見ていて気になったことがある。アナウンサーが、小椋久美子潮田玲子のペアをして「日本、取り返しました」、「日本、追い込まれました」などと言うシーンがあったのだ。違和感があった。なぜか。
 たとえば、サッカーで「日本、先制されました」。これは普通だ。普通すぎる。陸上や競泳のリレー。「日本先頭!」。これも普通だ。しかし、たとえば個人100mで北島康介が先頭を泳いでいるとき「日本先頭!」では、大きな意味で間違いではないのかもしれないが、違和感があるだろう(日本人選手が二人いる場合もあるわけだし)。テニスの錦織が負けたときに「日本、惜しくも初戦敗退」というのもおかしい。
 では、ダブルスはどうなのか、というところだ。俺はどうも、ダブルスという単位は「小椋久美子潮田玲子」、「小椋潮田ペア」、「オグシオ」であって、「日本代表チーム」ではない(もちろん実質は日本代表なんだけれども、ここでは呼称の問題として)、そんな気がする。相手側を「中国」という方もなんとなく気になる。「二人じゃん」と。
 じゃあ、三人、三人ならどうなのか。三人の競技は……自転車のチームスプリントなどがあるようだ。この場合はどうか。これはもう「日本」でいいように思う。チームのように思う。
 一人と二人が違うように、二人と三人以上も違う。そういえば昔、親父がよく「人間が三人集まると社会になる」とか言ってて(彼は吉本隆明に傾倒していたので、どうもそのあたりらしい)、そのあたりと関係があるのだろうか、ないのだろうか。
 ……ま、もっともアナウンサーにしてみても、いちいち「小椋久美子潮田玲子ペア」、「小椋・潮田組」とも言えないし、「オグシオ」では砕けすぎ。そこで「日本代表ペア」「日本人ペア」を略して「日本」になったのだろう、とは思う。
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バドミントン末綱・前田組が4強 世界1位中国組破る

http://www.asahi.com/sports/update/0811/TKY200808110208.html

 ところで、こちらの「スエマエ」、この勝利シーンは凄かった。飛び跳ねて喜ぶのではなく、二人してうずくまった。その直前まで、極限の集中の中にいた人間が、一気に解放された、その落差。これがまた自信となって次に繋がるか、ここで大きな山を迎えてしまったか、それとも他の要素が左右するかはわからないが、行けるとこまで行ってほしい。あと、オグシオに注目が集まりすぎたがゆえに楽になった、あるいは悔しさが力に変わったということもあるかもしれず、また、オグシオにしても注目が重圧になった面もあるだろうし、あるいは後押しになった面もあるかもしれず、このあたりは一概にどうこう言えないように思える。