その馬はいま

 遠方の印刷屋さんのほとんど飛び込みみたいな営業がありまして、いくつかの制作実例を持ってきたのですが、そのうちのぴかぴかの紙のものが某一口馬主クラブの募集パンフレットでした。なるほど、紙も写真もぴかぴかで、印刷物の実例としては目を引く物でしょう。
 ただ、僕のような競馬狂いにとっては、馬の方の内容が気になってしまう。印刷の美しさより、印刷された内容の馬です。数年前のものですから、募集している馬は現役競走馬世代なのです。たとえば、一番馬は総額五千万超(まあ、このあたりでクラブのレベルも知れるのでしょうが)で、母は南関東重賞級で僕も生で何度か見たことがある馬でした。ともかく検索してみると……。三走して全部二秒差以上つけられての着外。調べなければよかった。
 そういえば、一口馬主、なんの気があってかいつだったか資料請求したこともありましたっけ。しかし、やっぱり無理ですね。とにかくお金がない。自分を養えるかどうかというところで、馬の飼い葉代は出せない。もう、このごろは馬券すら買えず、ひそかに消え入りたい気分にとらわれています。ようするに私も、タイムオーバーなんですよね。スーパー未勝利には出られない。そういう類だ。流れ出る地方競馬でもあればいいのだけれど。