iPod Shuffleを使う

 ……菊花賞の当たりに気をよくして「THE 69th KIKUKA SHO」などとネームを入れてiPod Shuffleを買って一週間から十日過ぎた。はっきりいって、後悔している、ネームを入れたことに。このネームを見るたびに、「ああ、俺はなんとたまにしか馬券が当たらないことだろう。それに69で菊だなんていやらしい」などと思わずにおられないからだ。もっと頑張らなければいけない。何を? 人生を。
 さて、それ以外についての感想を書く。なお、機能面など自分が十全に把握していないので、でたらめな部分があるかもしらん。

まずは音質

 音質を云々できるような耳を持っていない。しかし、前回二台目の携帯MP3プレーヤーを耳にしたときのように、今回も「ああ、音がよくなった!」と思ったのは確かです。まあ、二年も違えば後から良いものができるのは当たり前でしょう。また、世界中の人間がそれなりに多く買って、多く使ってるものが、そんなに悪いはずがない、というところに落ちつくでしょう。ただ、このshuffleは音質設定(?)みたいなこといっさいできない。そのあたりは潔い。

カリカリの本体機能

 ともかく、shuffleの特筆すべき点は機能だ。機能の無さだ。徹底したそぎ落とし。説明書(クイックスタート)にしても、パラパラパラのパラパラパラって具合だ。本体には電源、音量、再生・一時停止、次の曲、早送り、前の曲、巻き戻し。そしてシャッフルと順番通りの切り替えスイッチ。これのみ。もちろん、本体に液晶表示などなし。
 が、これでとくに問題は感じない。だいたい、俺が前に使っていたものは小型ながら有機ELパネルなどついていた(明るい場所ではよく見えない)が、音楽聴く上で、そんなに画面見なかったもん。だいたいボタンの位置覚えたら、前の曲、次の曲、なんて手探りでオーケー。それに、曲名表示だって別にいらねえよ。てめえで買ったCDから取り込んだもんだものよ。
 唯一、もう一つ、と思えるのは、アルバム単位で飛ばせないことくらい。すなわち、「アルバムA」、「アルバムB」と入れて、それをシャッフルしない場合だ。この場合、たとえば早送りボタン3度押しで「アルバムA」の中盤から「アルバムB」先頭曲頭出し、ができないということ。でも、しかし、その場合も「アルバムA」聴いてて「アルバムB」に飛びたければ、曲数分の十数回ボタン押せばいいだけだから、あんまり問題ないだろう。自分としては想定しにくいが、大量のアルバムを入れて、そのアルバムの間を自由自在に飛び回りたいという使い方を求めるならば、shuffleはやめたほうがいいかもしれない。

iTunesとの連携

 これはもう、そのためにあるのだから、サクッとリスト作って、それにボタン一発で同期させるだけ。OS9時代から取り込んできた、なんか文字化けしちゃうようなわけのわからんMP3ファイルも、そのままファインダからドラッグ&ドロップでぶち込めるので楽ちん(Windowsは知らん)。ここに一切の不満はない。
 ただ、俺はiTunes Storeに過剰な期待をしていた。期待というか、変な先入観があった。それは、まるで中古販売を含めたAmazonのごとく、あらゆる楽曲が陳列されているんじゃねえのか、新しいのから古いのまで、あらゆるものが自由自在に買えるのではないか(自由自在にできる金はないが)、そんな風に、漠然と思っていた。だが、ちょっと待って欲しい。いろいろな理由によってそうでないことは、ちょっと考えればわかることだった。適当にネットをうろついていれば、わかっている話だった。つーか、俺だって知らないはずがなかった。が、実際に使ってみて、ああ、そうだ、そういうことだった、と、迂闊さに気づいたのだ。こうなると、今までの「音楽配信? まあ、俺はCD買うし」というスタンスから、「音楽配信断固推進」というスタンスに変わってくるかもしれない。
 あと、前に使っていたのと同様、USBのストレージとして使える。これはよかった。ただ、接続に専用ドックを必要とする(本体に小さなUSB規格口がついていない)ので、汎用性は高くない。

マイ・スタイルの変化

 ……というわけで、いろいろiTunes Storeで取りそろえようという目論見は崩れた(五、六曲買ったけど)。が、もとの通り、CDから取り込んだものをぶち込めばいい。で、ぶち込み方だ。今までの俺は、アルバム曲順通りに叩き込んで、そのまま聴くという、アーティストのコンセプトを重視して得意げになっているようなスタイルを貫いていたわけだけれども(急にハンガリー語の朗読が入ったり、ボーナストラックまで沈黙数分などという曲は排除するけど)、それをやめようと。ウィーキャンチェンジ。どうせshuffleならシャッフルを楽しもう、各アルバムのエース格ばかり集めて、俺のマイ好きな音楽ばかり流れる有線放送みたいにしてやれ、と。
 で、その放送はどうですか。案外これは面白い。というか、12球団から代表選手を選ぶ作業が楽しい。「む、こいつには期待していたけれど、今のチームに合っていない」とか「元のチームではいい働きをするが、代表では輝きを失う」などと、まあ遊んでいます。つーか、MP3化していないCDの量を思えると、楽しみであり、面倒であり。

ポジションの迷い

 最後に、またちょっと本体機能の話に戻る。これ、ご存じのとおりクリップであって、どっかにはさむこと可能。もちろん、ちっこいからそのままどっかに突っ込んでもいい。
 ……今、「全裸でiPod shuffle」というとても下品なネタを思いついた。もちろん、俺自身は恥ずかしいのでやらない。世界の紳士、そして淑女の皆さまに期待したい。思う存分、写真や動画をアップしてもらいたいと思う。
 それはともかく、逆にどこに収めていいかわからん。自由からの逃走だ。今まで二代続けて使ってきたのは、ネックストラップ型であって、それこそ裸であろうとなんだろうと首からぶら下げるという点で選択の余地はなかった。ただ、今度は違う。いや、そりゃジーンズのポケットの小さい方とか、そのあたりでもなんでもいいんだけど、未だにようわからん、と。それで、街ゆく人など見てみても、まちまちでようわからん、と。ここらあたりは、ベストスポット、ベストコードルートを研究していかねばならん。また冬にコートを着るようになったら、変わってくるところもあるかもしらん。
 まあ、ともかく今はこんなところ。じゃあ、代表選考に忙しいので、このへんで。