みなとみらいへ行って店の死ぬのを見るの記

 朝からみなとみらい。含蓄のある話など聞く。ものを読むだけではいけない、人の話を聞かなければいけないと思う。思うだけで人と積極的に関わり合いを持つような方向へは行かない。義務的、もしくはハプニング的な機会を受けるというだけだ。今日は前者であった。
 ジャックモールの方へ。デオデオへ買い物のつきあい。行ってみると、閉店のお知らせが貼られている。店内は閉店セールで盛況……と言いたいところだが、少なくない客が右往左往するばかりである。品物が無いのだ。そうだ、これは本当の閉店。まったくの閉店。閉店セール用の、改装のための閉店でない閉店である。もはや、売られている商品は特定機種用のプリンタのトナーだとか、二世代前のモデムかなにかの変換用コネクタであるとか、あるいは特定の掃除機のフィルタであるとか、そういったものばかりであった。あるいは、IHクッキングの一揃えだとか、馬鹿でかいテレビだとか、大物すぎるものたちだった。あるいは、そういった大物をものすごく安く買える機会なのかもしれない。しかし、アフターサービスなど考えると、この機会に買うのが得なのかどうかはわからん。ともかく、「本当の閉店では品がなくなる」ということを心に刻んだ。
 が、桜木町駅の下にへばりついているユニクロも閉店するらしいが、こちらはとくにそういったソ連的光景は見ることがなかった。まあ、閉店もいろいろだ。俺は閉店に心惹かれる。かなしい小説一冊分くらいの価値はあると思う。
君はコンビニの棚から商品がなくなるのを見たことがあるか?
トポスの終わりとハードボイルド・ワンダーランド
 のち、また買い物などして人の家に行き揚げ物など食べた。●●●●としっくりいかないと感じる二十代最後の冬。