『レッド』1・2巻/山本直樹

レッド(1) (KCデラックス)
レッド(2) (KCデラックス)
 ブックオフでついに見つけた。山本直樹の『レッド』だ。これは読みたくてたまらなかった漫画だ。なにせ、山本直樹連合赤軍を題材に漫画を描くのだ。「真鍋昌平が闇金をテーマに漫画を描く」からある種の成功が連想されるように、これも成功していないはずがない、というところだ。『ありがとう』その他、たまに見せるこの作者の、集団の狂気を、人間の狂気を、暴力を描くときの怖さ、それったらない。そして、集団の中のどうしようもないエロ、エロいのを描かせたらこの作者の右に出る者がいるだろうかって具合だ。
 ……と、期待度120%で読み始めてどうだったか。うーん、この二冊だけを読むに、まだまだ助走段階、そう思った。まだだ、まだ。まだこれからだというところ。しかしながら、これはもう予告された殺人の記録であるからに、それを暗示どころか明示しているところがすごい。
 こんな具合に、犧牲者には○数字でナンバーが常に振られていて、なおかつしょっちゅうその人が死ぬまで○○日、逮捕まで○○日ってのが出てくる。これは最初ちょっと違和感あったけど、だんだんくるね。犧牲者ばかりが良い人に描かれているような印象があったり、あるいは「この人は一連の事件では死なないんだ、よかった」と安堵したりと、まあなんというかね。

 さて、登場する面々。これはもうおなじみの面子なんだけれども、やはり永田洋子をあらわすところの赤城のキャラがよい。強烈だ。『光の雨』の裕木奈江ともうまい具合に重なるようであって、クリエイターにある種のインスピレーションを与えるような存在なのかもと思う。
 しかしまあなんだ、やっぱり実名というわけにはいかないか。俺はまだこのあたりについて興味が出てきたくらいのものであって、だいたいこれはあの人だ、くらいの目星はつくが、すんなりと脳内で実名化パッチがはたらくほどではない。もうちょっと叩き込まねばならん。そのためにも、当事者たちの手記あたりをあたってみようかと思っているところ。大昔、中学か高校のころ、立花隆の書いた何かを読んだけれど、あれはどこ行ったかな? あと、父の本棚にはどこかの機関紙的な何か、アングラ的ななにかもあって、ああいうのも実家のなくなるどさくさに確保しておけばよかった。父はワセダで運動していたとよく武勇伝を話したものだが、どこまで信じていいのか、自称ガキ大将程度にしか聞いてなかったが、さて。

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