写真を撮っているとき自転車に乗っているとき

 こないだいきなりもらったカメラ。いつも持ち歩くようになった。自分のカメラを持つというのは、ひょっとしたらはじめてのことだ。

 気兼ねなく使えるカメラ。広角レンズをつけたまま、コートやジャケットのポケットに入る。もらいもののお古なので、気兼ねなく使い倒せるカメラ。俺ははじめて、なにかカメラというものが楽しいものだと、楽しいツールだと、そんな気になっている。夜だって、地面に這いつくばらせたりして、いくらだって撮れる。

 見飽きた風景も、見飽きてないように見える。目的のないところに目的ができる。

 行為がある。風景に対して意識的になれる。

 飛行機雲を見つけてテンションが上がる。自転車を倒してしまう。

 自転車はすばらしい。昼休み、気づいてみたら山下公園にいる。みなとみらいにいる。またすぐ帰ることができる。瞬間移動みたいで、あっけにとられる。

 小さなカメラと自転車で、えらく自由になれるようだよ。
 いや、ずっと自由だったったんだ。それに気づいたってことなんだ、たぶん。