アガパンサスをもとめて

 俺はふと、このところアガパンサスばかり見るような気がしたので、俺はそのことを日記に書こうと思った。俺はカメラを片手にアガパンサスをもとめて、あちこちのアガパンサスをもとめて、歩き出した。

 アガパンサスは見つからなかった。なかなか見つからないアガパンサスアガパンサスはどこに行ったんだ。俺はたくさんのアガパンサスを見かけたような気をして、アガパンサスばかり見ることを書こうとしたのに、俺のアガパンサスはどこにもない。
 公園に行けばアガパンサスが見られるか、アガパンサス。どこにアガパンサスがあるのか、俺はあてどもなく歩いた。

 俺は、中洲のようなところにある、小さな公園に辿り着いた。高速道路、スタジアム、ラブホテル。谷間の公園。花らしい花は咲いていない、谷間のユリは咲いていない。アガパンサスも咲いていない。


 一人の男が住んでいた。敷いた布団。布団から身体を九十度起こして座っている男。集まるハト、ハトに餌をやっているのか。男とハトの公園。

 パス、パス。パス、パス。おかしな音がする。俺はふり返る。男は片手にソフトエアガンを持っていた。集まったハトを撃っていた。パス、パス。男は俺の方を見る、俺は公園をあとにする。日射しはつよく、それでも風のある朝のことだ。まだ、どんなことだってはじまりそうな気がする朝なんだ。

 彼に会うと僕はいつも「元気か?」と聞くんだけど、いつも元気なんだ。

Web、はてな、将棋への思い 梅田望夫さんに聞く(後編) (2/3) - ITmedia NEWS


 ※この話はフィクションです。