小田原へ
前に一度小田原まで行って、その充足感がなかなかのもので、また行きたい、明日にでも行きたい、そんなつもりでいた。新しいタイヤに、新しいサドルとシートポスト。行ってみたいじゃないか。……が、空模様が怪しい。どうも、西の方から崩れているらしい。横浜も曇り。新しいタイヤは、雨に弱そう。というか、雨の中でクロスバイクを走らせたことがない。
でも、いいじゃないか。そういう目に遭う経験も必要だ。雨の中を走るか、雨宿りするか、自転車を置いて帰るか……、そんな経験も必要だ。というか、雨の中で浄土に行くというのもいいじゃないか。
という気持ちで、前と同じルートで1号線を下った。……のだけれど、腰が痛くなってきた。尻ではない、腰だ。
考えてみれば、慣れないサドル、サドルについてはあらためて書くけれども、ぜんぜん調節とかしないで乗り始めたのだった。おまけにこの空模様だ。今にでも降ってきそうだ……。
そこで俺は、あっさり小田原を捨てて、「辻堂あたりで左折して、134とか通って、鎌倉あたりから北上して帰ればいいや」と方向転換した。俺は雨に打たれる度胸もない。
辻堂〜134〜逗子

辻堂海浜公園。ここだけの話、上の指示柱の上のオブジェは、風でくるくる回って怪音を発する仕組みだった。
駐車場は海水浴客とサーファーで激混み。俺はベンチに座って水を飲んだ。浜の方のかなり低いところをヘリコプターが低速で飛びつづけている。海難事故か?(追記:何件か事故があったようだ) 波は高いようだ。
134に出て、江ノ島を目指す。だんだん晴れてくる。自転車趣味の自転車はたまに対向車線を行くのを見るくらい。海の若者たち、日に焼けた肌、鍛えられた肉体、こじゃれたタトゥー。水着の女。サーフボードを載せた自転車。くそったれ、くそったれ。
ああ、くそったれ江ノ島。リア充。金持ちめ、金持ちめ、その車、サーフボード、金持ちめ。若さめ、モテめ。俺はよくわからない炎をエンジン内で爆発させながら、一気に江ノ島を、波の高い江ノ島を走り去った。小動岬も一瞬で通り過ぎた。
そして、134らしい134、親の車や、原付でうろうろ走った道。湿度が高い。もやに包まれているようだ。ここでは、多くのロード乗りが対向車線を行くのを見た。こちら側の車線には俺一人。一回も、抜きも抜かれもしなかった。不思議だ。いや、今思うに、ここを走るなら、海沿い方向を走るのが普通か。
俺は、気づくと、逗子にいた。いきなり日射しが強くなり、俺はあわててサンオイルを塗った(日焼け止めで抵抗するより、健康的に焼いてしまった方が、赤く腫れたりしないのではないかという考え)。

母校

ラブホテルでも宿泊施設でもありません。

ここに来るまで、悲惨なほど細かい路地を迷った。考えてみたら、駅からの通学路以外をうろついたりしなかった。

徳間康快の名を冠したホール。ジブリ映画を先行上映してくれたりした。

こんなものぶら下げる習慣はなかったように思うが。ところで、校長がハカマダさんって笑えね? イメージがねえよ。

教室からこの自販機を見下ろして、サーファーがライフガードを買うかどうか賭けていた青春。サーファーを見下しながら、圧倒的な敗北を押し殺していたルサンチマン。

自販機が導入されたのは、われわれの世代の生徒会のよびかけによる。

まあ、そんなところ。
おわりに
あー、そんなところで。あと、自転車についてのいろいろは明日にでも書く。Dst82.11/Av20.0/Tm4:06'00