はやぶさの帰還をひそかに祝う

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俺は2005年の11月にこんなことを書いた。
引用ここから___
はやぶさよ、還れ - 関内関外日記(跡地)
 俺は2億9000万km彼方のはやぶさの孤独を思うと、目頭が熱くなる。俺はどこかの誰かがひどい死に方をしてもなんとも思わないが、ひとりぽっちのはやぶさを想像すると泣けてくる。たとえばボイジャーボイジャーもかなしい。彼は映画の中のほか、永遠にこの太陽系に還ることはないだろう。
 はやぶさには 88万人の名前が刻まれたネームプレートが搭載されていた。0.03mm角のアルファベットで刻まれた88万人分の名前。そのプレートはターゲットマーカーとして使用された。
 NPO 法人日本惑星協会のメールマガジンから引用

26日午後4時からの記者会見で、プロジェクトマネージャーの川口淳一郎教授と記者の間でこんなやり取りがありました。
記者:この前投下したターゲットマーカーは、誘導に使ったのか。
川口:今回はこれまでの経験を踏まえてのことで、ターゲットマーカーを使わない前提で計画を組んだ。しかし発見できれば、データレコーダーに記録を残すことにしてあったら、実際に発見したのである。
記者:情緒的な言い方になるが、88万人の名前がはやぶさを導いたといっていいか。
川口:いいだろう。

 そうだ、宇宙には情緒が足りない。孤独な宇宙に残される88万人分の名前。その中にひっそりもぐりこんだ俺の名前、俺の好きな女の名前。88万人の物好きの名前。しかしはやぶさは還ってこい。情緒と引き換えに一握りの物質を持ちかえれ。そして俺を泣かせてみせろ。