新しき浦島太郎

 こないだ、ちょっと大きめの都市公園をカメラ片手に歩いてたときのことだ。池のほとりで子供が四人、かがみ込んでなにかに熱中しているので、近づいてみた。すると、驚いたことに、生きたままのカメの手足を、石で叩き潰して遊んでいたのだった。
 はっきりいって、ちょっと引いた。引いたというか、どん引きだ。で、ちょっと唖然としていると、子供たちの目がこっちに向いたではないか。相手は小学生三、四年くらいとはいえ、状況が状況だけにちょっとゾッとする。というか、見知らぬ子供とどうコミュニケーションとったらいいんだ?
 が、こうなったら仕方ない。できるだけはっきり声が出るよう腹に力を入れて「ちょっと、そんなことしたらかわいそうじゃない?」と言った。われながら「やめろ」と言えないところがヘタレだ。
 すると、一人の子が悪びれもせずにこう言うではないか。
 「だってこれ、外来種だよ」と。

 ……という話をさっきテレビに映ったウミガメの映像を見て思いついたのだけれども、取り扱いに困ったのでとりあえず日記に書いておく。実話として日記に書いてしまったり、なにか匿名でどこかに書いてしまったりしてもいいのかもしれないが、あいにくそのあたりはよくわからない。
 だいたい、この先の展開もよくわからない。どうとでもできそうだが。普通に道徳お伽話にできるかもしれないし、移民問題などと絡めて社会的な風刺にできるかもしれない。仏教的な法話につなげてみてもいいだろう。あるいは、カメののろいが小学生たちを襲う怪談もありうるだろうし、量子力学をベースにした多世界解釈もののSFにだってできる。カメの妖精が美少女になって恩返しに来てもいいだろう。
 しかし、俺にはどうにもできなかったので、これこれこのようなよくわからない垂れ流しになったのである。手足を石で潰されたカメはいなかったのでよかったと思える。おしまい。