201000800250000

2001000年00080000月000250000日。
 ひどく暑い夏だった。日本国の政治は停滞のまま先行きも見えず、経済はといえばアスファルトの上で干涸らびているミミズのようなありさまだった。それでも俺は安い自転車をキコキコ漕ぎながら会社に向かった。俺の前を走るおっさんもそうだった。おっさんはキコキコ自転車を漕ぐ、俺も自転車をキコキコ漕ぐ。おっさんの自転車が揺れる、俺も揺れる。おっさんの自転車のリング錠がキラキラ光る。なにかシールが貼ってある。ビックリマンシールの‘キラ’みたいな光。ときに赤く、ときに青く、キラキラキラキラ、武装、闘争、武装、闘争。富裕層は死なないという噂がある。あるとき、巨大居酒屋チェーンの社長がビルの8階から投げ捨てられたそうだが、傷一つ負わなかったとかいう話だ。本当だろうか? デマゴギーではないのか? だって、8階から落ちたらふつう死ぬもの。死なないとか傷つかないとか思いこまされてるだけじゃないのか。くそったれ、チリの鉱山の連中は地中深くに閉じこめられて1000年だ。いっちょ、試してやる価値はあるんじゃないのか? そして、俺はそのようにした。2001000年00080000月、ひどく暑い夏だった。