ある日の昼食(ガパオの体をなしていない)

玉ねぎをいい加減い刻む。いい加減でよくて、俺が本気を出せば二つ切りにした玉ねぎに一竿子忠綱の包丁で放射状の切れ目を入れて相当に細かいみじん切りにすることができるが、いい加減でいい。

あと、ほかに適当に野菜を入れる。適当でいい。これはなんだろう、セロリとインゲンか? でも、実はパクチー(香菜)がないのが残念だ。パクチーがあるとないとでは大違いだ。でも、適当なものでいい。

みじん切りにしたニンニクとショウガを炒める。油をそれらしくするということだ。最初に、いかに細かくきちんと、それなりの量を刻むかが肝要などと言いたいが、べつにそうでなくてもいいような気はする。

唐突にひき肉を投入する。本当は鶏肉がいいが、無いのだからしかたない。豚ならまだしも、牛はないだろうというところだが、それでもしかたない。塩コショウとか好きにすればいいし、しなくてもいいような気はする。酒とかふってみてもいいのかどうか知らない。

玉ねぎなど投入するし、しないわけにもいかないのだし。たぶん玉ねぎ先で、他の野菜は後のような気はする。

えーとこれは他の野菜を投入したところだろうか。まあこれも入れるべくして入れるのだろう。

さて、ここに取り出したるが魚醤である。ナンプラーニョクマム、いろいろの呼び名があるが、これは日本の魚醤、千葉の魚醤、鯛の魚醤である。観光土産で買った。スーパーで売ってる輸入ナンプラーに比べてどうかといえば、すっきりと上品な感じである。好みはそれぞれだろうし、いずれにせよ魚醤らしい魚醤であること確実である。ところで、ケチャップの語源ってアジアの魚醤だったって知ってた?

さて、魚醤投入したところかどうか。注意してほしいが、魚醤はたいへんに塩辛いので、うっかりするとかなり塩辛くなる。ここは慎重にいくべきである。あとは、心のイメージで魚醤に対して1:1の感じでオイスターソースを投入する。この、ナンプラーオイスターソースの1:1、これでおおよそ外さない。保険のために中華だしの素を振りまいてもいいが、塩味があるかないかこれも注意されたい。あとは、まあ酢を入れるなり、ちょっと砂糖を入れてみるなり、辛くするなり、好きにすればいいし。

卵を用意する。本当ならこれも火を通したほうがいいのだろうが、フライパンを一つ使ってしまっていて、面倒くさいので電子レンジ行きである。容器はそれ用のもので、けっこう前に100円ショップで買ったものだが、これが案外つかえるのだ。

はい、飯の上にフライパンの中のものぶっかけて、卵をのせて終わり。卵の固さは失敗したといっていい。やりすぎである。

場合によってはプチトマトだろうとなんだろうと盛ってしまえばいい。さらに言えば、ここにパクチーの葉をバサっと追加盛りしたい。なんというのだろうか、ナンプラーパクチーの香りというのが一体化したときの、限りないほどのみずみずしさというか、なまなましさというか、あれはたまらん。官能的とすら言える。パクチーがないのが残念だ。せめて、匂いの強めのセロリあたりは押さえておきたいが、この100円ローソンで買ったアメリカ産のセロリはだめだな。

あとは辛味とかの話だが、面倒なのでタバスコでいいんじゃないだろうか。あとは、コショウ多めにしておくとか、フライパン段階で豆板醤入れるとか、好きにすればいいし。ああ、そうだ、添え物としては意外に漬物が合うというか、梅干とか悪くない。口の中がスッキリする。もはやなんだかわからないが。

 ……というか、そもそもこれがなんなのかというと、よくわからない。自分の中ではガパオと呼んでいるが、そもそもガパオはバジルっぽい何かを指すものであって、バジルを使わなければならんのだ。たしか、そういうものだった。しかし、俺はそのレシピの中の「ナンプラーオイスターソースの1:1」だけ覚えていて、このようになってしまっているということである。そもそも、パクチーも関係ないような気がするし、まあ、どうでもいいというか。
 まあ、魚醤買ったのでこれくらいしか思いつかないので、こればかり食っているというような。肉もすでに普通の細切れだったりするし、野菜系については空芯菜だのアボカドだのモヤシだの春キャベツだのなんでもいいし、パクチー高いから無しとかいうことにしても悪くない。魚醤を使いきるまでは、とりあえずこういうものばかり食うのだろうし、塩加減だけには気をつけつつ生きていきたい。おしまい。