年上の彼女の人とすばらしい『ストライクウィッチーズ』のはなし

 おれはあまりすばらしい彼女の人のことを日記に書かないことにしているが、すばらしい『ストライクウィッチーズ』がなにか話題になっていたので、やはり少し書き留めておいた方がいいような気になった。書き留めておかなくてもいいような気もするが、まあいい。
すばらしいストライクウィッチーズ Blu-ray BOX スタンダードエディション べつになれそめを語るつもりはないが、二回り年上の人である。そして、おれがアニメというものにはまるようになったのは三十歳を過ぎてからで、つきあいが始まってからずいぶん経ってのことだ。十年とはいわぬが、七年、八年は経ってからのことだ。七年、八年経ってから、急にアニメ好きという属性がおれについた。しかも、決定打となったのはすばらしい『ストライクウィッチーズ』だった。
 ふだんのおれはというと、だいたいこの日記に書き散らかしているようなことそのままに、さらにここには書けないようなことをだらだらくっちゃべってるような人間であって、当然アニメの話もしよう。声優のラジオでおもしろい話を聴けば、そういう話もしよう。面白かったアニメがあれば教えたくもなるし、新劇場版の『ヱヴァ』を一緒に観に行ったりもしよう。
 だが、「おれ、ほんとは一番好きなアニメあるんすけどね、それはちょっと言えないっすよ」って具合で、すばらしい『ストライクウィッチーズ』のことは、どうにも話せないでいた。なにせ、いくらパンツじゃないといっても、それはパンツだもの。
 けど、一方で、このすばらしい『ストライクウィッチーズ』をこの人に見せたら、どんな感想を抱くだろうという興味もふくらんできたんだよ。けど、なんというのだろうか、おれはすばらしい『ストライクウィッチーズ』については正気を失っているといっていいので、ひょっとしたらとんでもないことになるかもしれないなんて思ったりもしたんだぜ。
 結局、1期のBlu-rayボックス貸した。向こうも、こっちがあまりにも隠すもんだから、気になってるようだった……し。それで、「これは二次大戦のミリタリー要素とか詰まっててですね、まあ、男の子の好きそうなもの全部ブチ込まれてる感じで、ともかく設定から突き抜けているんですけどね、話もよくてですね、でも、あんまりあなたに楽しめるかどうかはわからない」などとしどろもどろに説明してさ。
 ちなみに、彼女の人は美大出でSF読みでヘンリー・ダーガー展も一緒に行ったし、こないだの連休なんかはおれが風邪で臥せってる間に合田誠展に行ったりする類の人間なので(おれは一人で六本木に行くのは怖いので行くことはなくなったわけだが。なんか18禁コーナー? から出てきて、一人で「見なきゃよかった」って何度も呟いてるおっさんを見たらしい。本人は「なんか公園の案みたいのがあって、それがおもしろかった」らしい)、なんというのか、なにがまともかはわからないが、あまり平均的な人ではないかもしれない。
 で、『ストライクウィッチーズ』の感想はというと「おもしろかったけど、こういうのって昔からパターンが変わらないのね」というものだった。仲間と協力して襲い来る脅威と戦い、勝利する……。彼女が子供のころ見たアニメやなにかと一緒だ、というのだ。ズボンに関してはとくに感想はないようだった。よかった、恥ずかしくないんだ! ……つーか、たんに呆れられただけかもしれないが。まあ、そんなところか、と。でも、一通り完走? するくらいには、話に見るべきところがあったわけか、と妙に安心したりもしたのだった。
 が、「ところで、コンサートの映像あったけど、どれがお気に入りの声優さんなの?」と不意打ちを食らった。いや、よくわからないが、そこまで見られてしまったか! という、よくわからない一撃だった。まったく。いや、そのときはおれ自身がライブに行って誘導灯という名のライトを振りまくることになるとは想像もしていなかったが、あ、そこまで見られた! みたいな気になった。あのびっくりは自分でもよくわからない。
 けど、どの声優って、どの声優さんもキャラも好きですよ。ほんと、みんなプロですよ。こないだの沢城みゆきさんのペリーヌの立ち位置についての考察とか聴きましたか? ペリーヌは本来はもっと自由気ままでマイペースなタイプなのだろうけど、ちゃんとした人が隊長くらいしかないところに後から入ってきたから、ああいうちょっと宮藤なんかにカリカリするような真面目ポジションにならざるをえなかったのだ。人間の集団とは得てしてそういうもので、これは自分の中での考えだが、それを意識して演じていたというのだ。すばらしいじゃないか。きっと黒リーネについても名塚さんに深い考えあってのことに違いないのだ。違うかもしれないけど。
 ちなみに、ほかに何作か貸したりしたけれども『シュタインズゲート』に関しては「まゆしーが手ぶらなのが変。あと、みんなずっと一緒の服装なのが変(おれ注:そこに突っ込んだらおおよそのアニメに厳しいのでは……)。最初はなにこれ? と思ってたけど、最後は面白かった」。『夏雪ランデブー』については「体を乗っ取ったあとコンタクト・レンズのところが面白かった」。『まどマギ』は「ちょっと変わってておもしろかった」。そんなところだ。おしまい。

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