- 作者: ウィリアム・バロウズ,山形浩生,柳下毅一郎
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2004/06/04
- メディア: 文庫
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……ショウ・ビジネス界に三千年……後だったかそれとも前だったか、マヤのカレンダーは何もかもごちゃごちゃだろ……おれはトウモロコシの豊穣祈願の聖絞首祭でスターのモロコシ神をやったがこいつは興行主の思いつきで、こいつはこういうとんでもない端役に強くてそれがコンドームみたくおれにぴったりあうんだ。しかも口八丁。医者もやってる。大物外科医でベントレーとの正面衝突『事故』の跡で顔を仕立て直してっくれたんだ……おまわり曰く、こんなすさまじい事故は見たことがない。あれで完全消滅しなかったってのはよっぽどの特別パスでも持ってたんだろ。
「6 セルロイド・カーリー事件」
30ページ、いや、30行くらい読んで、「なんだこれは、これでいいのか」と思って、訳者あとがきを読んで「いいのか」と思って、また30ページ、いや、30行くらい読んで、訳者による『たかがバロウズ本』全文pdf(http://cruel.org/wsb/の冒頭を少し読んで、「いいのか」と思ってまた読み始めて、そんなことを繰り返して一応は読んだ。いいのかどうかわからなかったが。
そんでこれで「一応『ソフトマシーン』読んだけど、さっぱりわかんなかったっすよ」と、言えるようにはなった。ミステリー三大奇書を「とりあえず読んだことはあるっすよ」というのと同じだ。なんか、そんな気分。だって、上に引用したようなのが延々と続くんだぜ。ほかに例をあげるのが面倒くさいから、上の全文pdfの34ページ目(pdfとしてのカウント)でも読んでくれ。そんなんなんだぜ。
おれがこれを読んだのがもっと若いころだったらどうだったかとか、それこそ中学二年生のころに読んだらコンドームみたいにぴったり合ったかとか……、そんなことは想像できねえ。なんだこりゃ、こういうものなのか、いや、わかんね。
そりゃ、なんだ、中にはなにかこう頭のなかのSF回路とかに結合してふぁーっとイメージが湧くような瞬間がなかったらウソになるけど、それ以上に、そんなもん期待できねえやっていうところが多くて。それでも、一応、全文読んだんでしょ、というと、そうなんだけど。
とかキーを叩きながら、またちょっと文庫本開いて出てきた箇所読んで、あー、無駄だとか思って、それでもおれは一応読み通したんだけど。
すげえ驚いたとか、こんな文章が、作品が、なんといってわからんが、ともかくすげえもんが存在していた! ……ってのでもないんだよ。よくわからないが、おれはバロウズの流れを組んだなにか、影響を受けたなにかと接したことがあるのかもしれない。それがなにかを指し示すことはできないけれども。そういうもののはじまりはバロウズ、と言われたとしても、はあそうですかと。
でも、なんかやばいところがあって、このわけのわからないものが、ほかのなにかより、なにもかもよりこの世界をかっこよく表してて、ほかに目にしているなにもかもがえらく野暮なんじゃねえかって、おれの言葉はもちろん、なにもかもが野暮ったらしいちんけなものじゃねえかって思えるような、そんなのがあって、どうしたもんかと思った。なんかうまく言えねえけど。筋の通った文章が、イメージが、野暮みてえに。
いけないいけない、なんかわかんない。ともかく、こいつはよくねえ。ソフトマシーンは危ない。バベッジ卿の階差機関にでもなにか書かせたほうがまだマシだ。え、それじゃ名作ができちまう? 知った話か、それじゃばいばい。