東京タワーは日本一の山


 国立新美術館! アメリカンポップアート? ノー。連れの人の親戚が出品云々のおつきあい。無料。まあ、わりと嫌いじゃない。あからさまな実力差があるという展覧会というものも。おれには見る目があるから、みたいな上から目線で失礼。ゲラゲラ。昼飯は先に済ませた。いつもの豚のところのビュッフェでなしに、なにかバーの昼食モードのちょっと塩が効きすぎてる冷やし塩ラーメンを食った。

 ザ・目的地は東京タワー。歩いて三十分、地下鉄で三十分、そうGoogle先生はおっしゃる。結局どうしたのだっけ。地下鉄、神谷町から、歩いた。
 おれと東京タワー。思い出すのは中学受験時。芝中を受けに行った帰り、せっかくだから東京タワー見物をしたのだ。芝は日程的に試験の初め。なんという余裕。というか、親に連れられてきたのだけれど、この距離、この乗換、受かって無理、という気持ち。
 で、M山君に東京タワーでばったり出くわしたのだった。M山君は小学生のための受験予備校で同じクラスを行ったり来たりしていた他の小学校の子で、話したことがないわけでもない、というくらいの仲。「お、おう」みたいな感じになる。お互い受験中やろ。が、そこで、こっちの母と、むこうのお母さんが「まあどうもこんにちは」となぜか打ち解けて、一緒に飯を食うかなにかをするはめになった。初対面の親同士はなにか盛り上がっていたが、こっちはとくに話すこともなく、気まずいわけでもないが、なんなんだろこれは? という空気になったのを覚えている。その後、M山くんが芝中に合格したのかどうか、どこにどう進んだのかまったく知らない。

 思い出話はともかくとして、目的は「蝋人形館」であった。おれの記憶では、さすがに上の受験時に蝋人形館に行った覚えはない。それが無くなるというので、せっかくだからということだ。館内は撮影可、ノーインターネッツということなので、入り口だけ。

確かに、館内には「ロックブース」と呼ばれる専門スペースが常設され、かなり趣味性の強い海外ロックミュージシャンのろう人形が立ち並んでいる。ロックファンならいざ知らず、一般客からすれば、少々ハードルが高い雰囲気もある。
ロック愛好家はこう語る。
「そこがいいんですよ! フランク・ザッパジェスロ・タルのイアン・アンダーソンとか人選も渋い。特に“ジャーマンプログレ”の部屋はアツいんだよなぁ。あそこにはコアなファンでない限り『誰?』ってレベルのろう人形もある。社長の意向らしいけど、東京タワーという普通の人たちが訪れる場所であんなものが展示されているのが面白かったんだよね」

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130804-00000807-playboyz-soci

 というわけで、監禁中にしか見えない毛沢東蒋介石などの記憶など吹っ飛ぶくらい「あんた誰?」の部屋、そして謎のテイストのコレクションが並ぶ。おれが知ってる雰囲気としては、シルクセンターの地下とか、そのあたりだ。完全に一歩突き抜けてんじゃねえのかという。これが無くなるのはおしい、と同時に、むべなるかな、と。



 土産物屋もすごかったな。これが土産物屋や! という、これはもう日本最高峰の観光地の土産物屋だろうという。よくわからないキーホルダー、ともかくピカピカの置物、木刀。外国人向けかどうかわからないが、美少女フィギュアなど売る店もあるが、それも溶け込んでしまうカオス。すばらしい。

 まあせっかくなので、チケット買って、上とその上にも行ったんだけどね。エレベータ外見えるの。で、おれは独裁国家の独裁者になったら外の見えるエレベータ作ったやつは死刑にするとか言ってたんだけど、怖くないんだわ。

 上ではニュースになった軟式ボールとか飾られてた。



 夏っぽくもやってて、クリアな視界はないし、擬似ミニチュア遊びしたろうかというくらいの。


 しかし、やっぱり上に行っても怖くないんだわ。高所恐怖症どっか行ったのか、向精神薬がそいつを抑えているのか。あ、今ならおれ、とび職とかできる? いや、高所などでの作業アウトだわ。というか、それ以前に膂力が足りねー。

 そんなことをだれに相談すればいいのやら。

 それじゃ、また来ることもないだろうが、さようなら。