『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』を観る

 『中二病でも恋がしたい!』よりもリアルで痛々しい感が強めだった。
 自らを思い返してみるとどうか。おれ自身は……こういう方向の「中二」ではなかった。別の方向だったと思う。過去が殺しに来るので、とくに書かないが。ただ、友人関係というものを最後まで持続させられる子供ではなかったが。
 して、こういう方向のやつがクラスにいたかどうか思い出そうとする。すると、ほとんど消えてしまったはずの記憶の中から、中高一貫の中で二人くらい思い浮かんできた。一人はキャーキャー騒がしい、よく言えばクラスのマスコット、悪く言えばいじられ役のようなやつ。もう一人は、すごく地味で常識人のようだったが、実はそういうところのあるやつだった。「実はそういうところのある」をなぜ、どういう形で知ったか忘れたが、「そうなのか!」と驚いた覚えはある。あてにならぬ記憶だが。
 世界は狭量なのだろうか。狭量には違いない。とくに、学校、クラス、あれの狭い世界は狭量にほかならない。とか言い出すと、おれは学校そのものがいらないんだとか喚くことになるのだが。

まあ、いずれにせよこの世界はつまらない。おれだって、なにか特殊能力の一つでも持ってた方がおもしろいにきまってると思う。ティッシュペーパーが一万円札に変わる能力とか。……ああいやだ、空想すら年老いる、これが中年。
 と、中年が見て感想を書こうとすると、どうも距離感がとれない。まあ、とれた感想を書いた試しもないが。いや、なんともわからないが、たとえばこれを現役の中高生が見たらどう感じるか、あるいは小学生が見たらどう感じるか……、おれがそのころ見たらどう感じるか、でもいいか。いや、おれははなからライトノベル(とその頃呼ばれていたかどうか)とかを小馬鹿にしていたから(三十過ぎてアニメにはまってるよ、おまえ)、とくになにか感じることはなかったかもしれない。
 ……さて。さて、どうなんだ、『AURA〜魔竜院光牙最後の闘い〜』。悪くなかった。名作とはいわないが、佳作だったと思う。おれは作品のターゲットの層じゃないが(……いや、どうなのだろう?)、でも、ボーイ・ミーツ・ガールのいい感じがあったし、なにかしらはあったと思う。なにかしらはなにかよくわからぬ。べつにそれでいいだろ、な。