痴女が救急車でやってくる

 今年の1月からすべての土曜日に出勤している。2月11日も仕事で東京の西の方まで行った。年度末はこんなものだ。こんなものでなければ、おれはすぐにでも安アパートを追い出されて路上で冷えて死ぬ。だから土曜を休めないくらいのことは仕方ない。電気ストーブの電気代を稼がなければいけない。

 それに日曜日は休めている。日曜日は昼の12時を過ぎて、午後1時とか2時まで寝ている。休息だ。……と言いたいところだが、これがあまりよくない。日曜日の夜になかなか眠れない。眠れないままに月曜日を迎えてしまう。月曜日は憂鬱だというけれど、憂鬱どころじゃなく、なにかこう、頭の中がちりちりして、急に喚きだして、あたりのものをぶん殴ったり、蹴り飛ばしたりしそうな衝動に駆られる。

 ……お薬出しておきますね、レキソタン、それにアロチノロール塩酸塩。そう、レキソタンでも。ジプレキサは増やせねえ。思えば、おれはもっと働けた。昔はもっと働けた。双極性障害の診断を受けてから、甘えが出ている。病気があるから、土曜だって少し長く寝ていよう。それが間違いだ。日曜日にも夜更かししよう、なに月曜日なんてウォーミング・アップだぜ。それも間違いだ。もっと規則正しく、人にやさしく、おれと、お前と、大五郎は……。

 うすうすと勘づいてはいたが、おれは脳がぶっ壊れているくせに、少し心が強い。強いというか強がっているところがある。マッチョな志向がある。躁鬱の鬱に沈んでいく自分を、自分の脳を、どうにかコントロールできないか見ている自分がいる。そして、決定的にぶっ壊れないだろうと高をくくっている。甘く見てるんだ。心の医者には通院しても、心の救急車を呼ぶまでは行かないだろうと思ってる。タッタカラッタッター。ところで、『ローリング☆ガールズ』のどっかで「M・O・N・K・E・Y」 が使われるんじゃないかと思ってるんだが、どう思うね?

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 まあいい、かわりになにを呼ぶ? 聖☆おじさん? いや、横浜には痴女の宅急便があるじゃないか。検索してみよう。

約 423,000 件 (0.21 秒)

伝票番号に「ヤマト」を付けると宅配状況が検索できます (例)ヤマト 99999999999

  横浜どころじゃない。この国には423,000件の痴女の宅急便がいて、さらにはネコがとばっちりを受けている。悪くない。おれもいつかは痴女の宅急便を呼ぶ日がくるのだろうか? わたし、痴女の……。こっちはなんだ? やっぱりネコじゃないの。でも、ただのネコじゃないね。『ザ・レイド』のマッド・ドッグみたいなやつだ。ネコなのにイヌだ。ネコの滑らかさとイヌの一撃を持っている。おれなんか一撃だ。一撃で急所を突かれて死んじまう。捻られて死んじまう。Googleで検索したら、そんな「宅配状況」がゴロゴロしてるんだ、きっと。列島中、痴女の宅急便とトラブル起こして死んだ男たちの亡骸がゴロゴロしてんだ。実に平和じゃないか。でも、そんとき痴女はなにしんてんだ? 想像もできねえ。でも、死んだ男たちは満足そうだ。くそ、こっちは頭がちりちりして眠れねえのに。そのせいで、明日はもっと悪くなるし、再来年なんてもんは存在しねえのさ。