低学歴で低収入層のおれのための格闘技が帰ってきた!

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(写真はTV Bros.より)

低学歴、低収入、いわゆるなんとか層であるおれは、地上波でやる総合格闘技というものが大好きだった。薄いオープンフィンガーグローブでバチバチ殴り合い、サッカーボールキックあり、四点膝ありの野蛮な世界だ。そこに有象無象が出てきて「60億分の1だ!」とか盛り上がる。最高じゃないか。おれみたいにろくでもない下層の人間にとってのすばらしい娯楽。残酷なショーを高みの見物。

……と思っていたらPRIDEが撤去されて後、完全に盛り下がってしまったのだ。おれのような貧乏人は有料放送の海外MMAなど観られんし、もうああいう総合格闘技とは縁遠くなってしまった。

が、なぜかわからないが急にフジテレビがRIZINなるイベントを放送するというではないか。それも大晦日と、その二日前に。おれは嬉しくなってしまった。出てくる面子を見ても、「昔の名前で出ています」という感じは否めないし、楽しみなのは把瑠都(おれは未だに大相撲幻想が少しある)くらいのような気もするが、それにしたって、やってくれるんだからありがたい。

RIZIN FIGHTING FEDERATION

で、始まってみれば高阪剛vsジェームス・トンプソンときたもんだ。そうだ、ジェームス・トンプソン! おれがニコラス・ウィンディング・レフンの映画『ブロンソン』観たときに思い浮かべたのはこいつだ!

ニコラス・ウィンディング・レフン『ブロンソン』を観る - 関内関外日記

 というわけで、モストにバイオレントな囚人の話である。主人公の体つきからしてバイオレントであって、しかもなにかこう、どっかで見たことあるな、と思うのである。むろん、おれは英国の囚人のことは知らない。おれが思ったのは、「昔のK-1かPRIDEの最後の方に、こんな感じのムキムキで馬鹿みたいにブン回すイギリスの白人ファイターいたよなあ」である。 

これだけでおれのテンションは上がる。しかも、トンプソンは軽量で失格になるほどブヨブヨにたるんでいて、「それでも高坂選手が~」いうアナウンスで盛り上がる場内。いい、このアバウトさがたまらん。選手生命というか、生命に関わることなのに、「いっちゃえ」という感じ! どうしようもなく胡散臭いというか、なんというか、そういう感じ! 特別な客席で高須院長と西原理恵子(たぶん)が観ている感じ! なんというか、これだよなぁというふうに思ってしまったのである。

して、いろいろの試合の方だが、なんというか久々に観たのでけっこう面白かったと言わざるをえない。ひさびさに酒を飲んだとか、煙草を吸ったとか、年末年始にしか芸人がネタをやるのを見ないからすごく笑えるとか、そういう感じである。いろいろの格闘技の見識がある人や思い入れのある人にとってどうかは知らん。おれはけっこう面白かった。

どこが面白いかといえば、なんか説明もなくジェロム・レ・バンナじゃなくてピーター・アーツになってる! とか、そういうところもあるけど、トーナメントなんてわりとよかったんじゃないの。石井慧も、まあ総合格闘家に転向したところでいきなり舞台がなくなったという不幸もあるが、しょっぱい試合じゃなくていきなりぶっ倒されて追い打ちに膝食らうKOなんてのはなかなかよかった。ジーリー・プロハースカなる選手の値打ちはしらないが、それでもいいのである。テオドラス・オークストリス選手がやけにサラサラヘアーなのもいいのである。彼ら(おれの知らないという意味で)新顔の選手たちは、RIZINがバンバン煽りVTR作っていきゃいいし、おれはおれはそれに乗るだけのことである。

あとはなんだ、所英男vs才賀紀左衛門。あびる優が非常にうるさくて面白かった。というか、所英男はやっぱり真面目に身体作ってきて、真面目に試合してくれたなあとか。

と、そんなおれではあるが、桜庭和志vs青木真也はどうかと思った。いくらなんでも感があったし、せめて体重差かと思ったらそういうわけでもなく。青木真也が言うまでもなく、止めるの遅いよ、とは感じた。が、一方で、そういう血まみれで凄惨なの好きなんだろと言われると……うーん、でもやっぱり桜庭は心配か、とも思える。おれにも良心のようなものはあるのだ。

つーことで、大晦日もわりと楽しみになってきた。とりあえず、おしまい。

追記:ボクシングのこと

あ、この放送前にボクシングやってたんだ。忘れちゃいけない。八重樫東は名勝負製造機だ。顔だけ見たらどう考えても八重樫の負けだが、試合内容は圧倒に近かった。おれの採点では117-111。チャンピオンは打たれ強く、前に出てくるし、パンチもありそうだった。だが、八重樫の回転力と打ち合いでの強さが出ていた。文句なしだろう。試合後に八重樫の子供たちにも挨拶するメンドサはいい人っぽいと思った。

そして、井上尚弥である。2ラウンドでK.O.されてしまっては、井上が強すぎるのか、相手が弱かったのかすらわからない。ただ、相手のガードの上からでも叩きのめすパンチ力というのは非常に強いもののように思える。ようわからんが、階級を合わせてロマゴンとやってくれ、というのは無理筋なのかどうか。いやはや。