『プンサンケ』をみるのこと

プンサンケ [DVD]

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 プンサンケとは「豊山犬」という意味らしい。北の犬、南の犬。キム・ギドク脚本をその助監督を勤めてきた人が監督した作品。
 主人公の無口な犬は飼い主もよくわからない。ただ、3時間で北に潜入して物品や別れ離れになった家族のメッセージや人間そのものをやりとりする。凄腕だ。拷問にも強い。強まっている。その強い男が北から連れて来た女となにか特別な感じになる。感じになるのだ。
 しかしまあ、なんというか北と南、傍から見ていてどう思っていいかわからないところがある。『レッド・ファミリー』なんかでもそう思う。日本が共産圏と資本主義陣営に別れたら? というフィクションはいくつかあると思うが、朝鮮半島にとっては現実だ。戦争も現実だし、あるいはソウルが火の海になるのも現実的な可能性なのだ。同じ言葉を話す(現実には若干違ってきているとかいうが、通じるものではあるのだろう)、同じ民族同士の……諍いというには矮小すぎるか。そこに悲しい笑いが持ち込まれてしまうのもキム・ギドクならではだろうか。最後の密室のシーンなどなかなかに強烈な戯画かもしれない。これまた、傍から見るものに言う資格があるのかわからないが……。

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