戦艦ドリフトにウヒョー……映画『バトルシップ』を観る

 冒頭の「NASAは5倍の出力で」みたいなところで、「おまえ、バカだろ!」みたいに思った。いや、実際に5倍の出力がすごいのかもしれないが、なんな「バカだろ!」と思えてならなかった。そしておれはそういうバカが嫌いではない。
 というわけで、おれは『バトルシップ』が嫌いではない。『ガンダムF91』のバグみたいのやら、戦艦ドリフトによる一隻丁字戦法やら、しびれるシーン盛りだくさんである。チキンブリトー
 つーか、バグもドリフトもすでにネット上に言及があって、みんなそんなの思い浮かべて、みんなそんなの好きなんだなあと思った次第。いや、限られた「みんな」なんであろうが。
 しかしまあ、ミズーリである。日本国民としては屈辱のミズーリではあるが、本作品に関していえば「ミズーリ、ヒャッホー!」という気分にさせられる。バトルシップ、戦艦である。戦艦のロマンである。軍用艦との誤用で用いられる戦艦でなく、正真正銘の戦艦である。それがドリフトして主砲をぶっ放すのだからたまらんのである。主砲でなくミサイルの類であったら盛り上がりに欠けるというものである。戦艦にはロマンがある。だからこそ日本には『宇宙戦艦ヤマト』があるのだし、米国には『バトルシップ』があるのだろう。悪くない。
 が、悪いという人も多いらしい。評論家ウケが悪いらしい。これはよくわからない。最高だぜ! という意見はわかるし、「別にどうってことない」という意見があるのもわかる。が、最低だぜ、というところに行きつくのがややわからん。いくら低くとも単なるB級映画、くらいの扱いが妥当ではないのか。それとも、やはり最低の評価をするぐらいが戦艦に対するリスペクトなのかもしらん。
 リスペクト『バトルシップ』。おれは素直に好きだと言いたい。ぼんやりした部分があったりするが、べつにいいじゃないか。ミズーリがぶっ放せばいいじゃないか、というところだ。それにもう、なんか深みもなにもない異星人もたまらん。争いは同じレベルでしか……という感じがいい。すっきりしている。ともかく、退役戦艦の主砲をぶっ放されておしまいというあたりがなんとも言えない。まあ、べつに深く考えることじゃあないのだけれど。
 そうだ、深く考えるんじゃあない。戦艦ドリフトにうひょーってなればいいんだ。それだけだ。それだけなんだよ。おしまい。