2015年の年末テレビ感想

 おれのテレビはだいたい録画したアニメを観るか、競馬を観るか、ボクシングを観るか、こうやってPCのモニタにするかというあたりが仕事だ。いつの間にかニュースすら観なくなってしまった。ましてやバラエティなど観やしない。
 が、年末は別だ。お笑い番組を観る。これが強烈である。ふだん、芸人のネタやら罰ゲームやらから遠ざかっていて、一年に一回くらい食らうと、もうたまらんほど効くのである。腹筋が痛み、背骨がへし折れるくらい笑える。煙草における島尾敏雄現象(いつ以来かのタバコがまったくうまくない、おしなべて本当のことはおもしろくない - 関内関外日記(跡地))といっていい。

「誉」と名づけられた軍隊専用の包装も粗雑な安煙草を、一本抜き出すと私は口にくわえて燐寸をすった。そして最初の一口を深々と吸い込んだのだが、思わず遠くを見やる目つきになっていたようだ。するとどうだろう、口の中に残っていた羊羹の甘味とひびき合って、何とも言えぬ快い刺激が湧いてきたのだ。こんなにうまい煙草をこれまでに吸ったことがあるだろうか。それは実に恍惚! とも言いたい状態で、総てを忘却して浸ることができた。私は立てつづけに三、四本は吸ったろう。その恍惚を逃したくなかったからだ。しかし最初の一本ほどの忘我のうまさは二度とやってはこなかった。
魚雷艇学生』

 いま、「ぎょらいていがくせい」と売ったら「魚雷定額制」とはじめに変換された。撃ちまくっていいのだろうか? 魚雷も安くないだろうに。
 閑話休題。2015年末のテレビでお笑い以外も含めて、いくつかメモする。

馬鹿よ貴方は

 一昨年くらいからテレビに出ていたようだが、今年のM-1グランプリではじめて知った。手元で採点するアプリ(でなくサイトだったかな?)があったが、馬鹿よ貴方はが一番高得点だった。おれの中では。ほかにもう一本観たが、それも最高に笑えた。「大丈夫?」「大丈夫だよ」の下り、M-1では時間不足かとも思えたが、それでもあれだけやってのけるのはえらい話である。おれの好きなお笑いコンビは? というとサンドウィッチマンが定番の一位ではあるが、馬鹿よ貴方はいきなり二位くらいになった。それより下のランキングは存在しない。

プロ野球戦力通告クビを宣言された男達

 今年は少数精鋭? そして結婚がらみ2件と、ややボリュームと展開に欠けた。読売の賭博三人衆にカメラは密着していないのか? といいたい。いや、したところで、どんなタイミングで流すんだよ、という話にはなるが(復帰はないだろうし)。あと見たかったのは、フリーエージェント宣言するも、どの球団も興味を示さないという地獄絵図、いったいどうなるんだろうと思った広島の木村昇吾にも密着してほしかった。たぶん西武がテストして拾ってくれそうで(FAなのに!)よかったが。

ボクシングいろいろ

 ボクシングは……多すぎる、というのは率直な感想。団体と階級とベルトの過多あってのことだろうが、まったくちょっとどうなのだろうか。限られた団体、限られた階級、ベルトは一本の時代から観ている古いファンにはどう映るのか。やはりこう、作られた王者と真の王者をひと目で見分けることができるのだろうか。いずれにせよ、本当に強い敵と戦わなくては、ベルトの価値は低いよという、厳しいのだか厳しくないのだかわからない世界になっているようだ。
 そんな中で圧倒的パフォーマンスを見せたのが井上尚弥か。とはいえ、これももう強すぎて相手が弱わ過ぎたのかという心配もしてしまう。とはいえ、このあたりの階級の選手は「ロマゴンとやればわかる」のであって、いずれの対戦を期待したい。
 逆に八重樫東は名勝負を演じてくれた。相手も弱くない。前に前に出てきて、ややおおぶりながら、硬そうなパンチを振り回してくる。八重樫の顔も腫れる。顔だけみたら八重樫だ。けど、おれの採点で117-111で八重樫圧倒。回転数と、コツコツ与えるダメージが大きかった。好試合だった。
 田中恒成。これはもう圧倒的に見逃した。おれはTVブロスを参考にしていたが、まだまだフジテレビなんて「未定」がドーンと載っていた時期に出たものだ(澤穂希引退番組なんてのも急遽だろう)。で、そこでは「KYOKUGEN2015対戦カード公開SP」とか書いてあるんだもん。29日発売の東スポのテレビ欄だと、ちゃんと「プロボクシング 田中恒成×ビック・サルダール」って書いてある。油断しちゃいかね。でも、試合終了直後には偶然チャンネルを合わせて、田中のキャラはいいなと思った。
 井岡一翔はボディでレベコをやったんだっけ。大晦日はいそがしくて困る。高山勝成の王者陥落も、いきなり結果を知ってしまったような気がする。
 テレビ東京でやっていたのは内山高志。これはもうえげつねえという勝利。年齢も年齢だが、夢のアメリカ進出というのに期待したい。田口良一もTKO。ラウンド始まりで「もう立てない」と試合を断念する敗者の気持ちというものを少し想像した。

クイズ☆正解は一年後

 これはもう本当に下らなくて好きな番組。今年も背骨が折れるほど笑った……が、まあ後半は少しダレたかもしれない。でも、友近エゾシカ男の無駄遣いなど、丁寧な作りには好感が持てる。豚ホルモンが逃げたのは少しせつない。そして、堂林と結婚したアナウンサーの復活というのもあったか。ようわからんが、がんばれよ堂林。あとはなんだ、ロンブー淳キングオブコメディの解散をネタにしたが、ピタッとスタジオの空気が止まったようで、なにかを垣間見たような気にはなった。いつだったか偶然観た、有吉司会の「大喜利の答えが時間をおいて自分の身に降り掛かってくる」という番組も面白かったが、この気長で狂ってる番組も続いてほしいものだ。

ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!絶対に笑ってはいけない名探偵24時

 これも年末の風物詩か。おれはだいたい録画しておいたのを放送終了後に見始めるというのが習慣。で、冒頭の中居くんと偽SMAPから笑わせてもらったが、今年は手堅く、コンパクトに、という感じだっただろうか。腸がねじれるくらい笑ったのは……、あれ、あんまり思いつかない。千原ジュニアが深手を負ったあたりは面白かったかな。あとは松本のプライベート暴露と浜田の老い。西川きよしネタも鉄板だ。板尾も今年は面白かったな。なんだよあの「田中と同じ気持ちか」からのオチは。板尾んところが一番笑えたかな。上島、出川のコーナーも相変わらず下品さで突き抜けていて(まあ、ふだん観ないからしらんが)、それでいて安心できる。あー、総合的に言うとやっぱりなんだ、やっぱりこのシリーズは続いてもらいたいな。マンネリ感がないといえば嘘になるが、つまらないわけでもない。まあ、そのあたりが難しいところなのかもしらんが。

……えーと、RIZINは項を改めよう。おしまい。