ワールド・ウィッチーズとヴィヴィアン・ガールズの違いはなにかね?

 

島田フミカネ THE WORLD WITCHES 2018

島田フミカネ THE WORLD WITCHES 2018

 

 この本ないし画集、そしてそこに記された文章を読んでいて、ふと思ったのである。島田フミカネ先生がひらめき、そして拡張し続けているこのすばらしいストライクウィッチーズないしワールドウィッチーズ世界と、ヴィヴィアン・ガールズの違いはなんなのだろう、と。

ヴィヴィアン・ガールズとはなにか。かのヘンリー・ダーガーが描いた世界である。

ヘンリー・ダーガー - Wikipedia

非現実の王国で - Wikipedia

正式には『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』。おれが原美術館での展覧会で見たところ、少女たちは両性具有であった。一方で、すばらしいストライク・ウィッチーズ世界の少女たちは……ズボンを履いている(パンツじゃないから!)。

世が世なら、だ。第2次世界大戦の男性エース・パイロットたちを少女化(一人くらい本当に女性だったモデルはいる)し、ズボン(パンツじゃないから!)を履かせて謎の存在と戦わせている、なんて、ちょっと普通じゃない。

いや、血を吐く思いで言ってしませば、パンツ丸出しで機関銃などを持った少女たちが魔法と義足のようななにかで空を飛び回り、謎の存在と戦っているなんて、普通じゃない。

……普通じゃないはずなのに、これが現代日本では普通なのだ。え、普通だろ? というか、普通じゃないにせよ、商業ベースに乗って流通しているのだ。おれの部屋にはエイラとサーニャのポスターが貼られているのだ(娘TYPEも休刊してしまったなぁ)、いろいろのフィギュアが散乱しているのだ。どんな世界だ。でもとにかく、いろいろのお金が注ぎ込まれ、アニメ、小説、漫画、ゲーム、映画になり、商売として成り立っているのは確かだ。

というわけで、世が世なら、だ。ダーガー先生も「アウトサイダー・アート」などという区分ではなく、売れっ子ラノベ作家(挿絵も手がける)になっていた可能性もある。『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』も何クールかにわたって(何クール、で済むのか?)アニメ化されたりしていたかもしれない。

そう思うと、なんか不思議な気になる。不思議な気になるが、やはり世はそのときの世だし、いろいろの出会いや機会といったものが、ある種の表現がいかに流通するかを左右するのだ。それはもう、運といっていいかもしれない。そして、ダーガー先生といえども、死後に発見され、はるか遠い日本という異国の地にて展覧会が開かれたという運があった。本人にとってはどうでもいいことかもしれないが。そして、おそらくはだれにも発見されないか、発見されてもゴミとして廃棄されてしまった『非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ・アンジェリニアン戦争の嵐の物語』がこの世にはたくさんあったのだろうと思う。一方で、すばらしいストライクウィッチーズは世に出て対価が支払われる商品となっている。まことに、運。

……とかなんとか言いつつ、「ガランドにスピットファイア履かせちゃうのか」とか「ゴロップをこういうキャラにするのか」とか、そんなんで満喫ちゃうわけであって、この時代のこの日本に生まれてよかったと思う自分がいるのでした。はい。

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