関外地区の治安状況に関する報告

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仕事をしていたら、外から「おりゃー!」「ワレェ!」というような声が聞こえてきた。ちょうどそこに、外回りから同僚が帰ってきた。「うちのビルのゴミの取り合いをしてホームレスが喧嘩をしているようだ」と。

窓を開けて二階から見下ろすと、なるほどそのような修羅場が繰り広げられている。なぜか魚河岸で働いている人が履いているような白いゴム長靴を履いた中年と、頭が禿げて、白いひげが特徴的な老人が、お互いの襟首を掴んで罵り合っている。どちらかが柔道の有段者であれば、なにかきれいに技が決まりそうな組手である。

しかしまあ、ゴミの日でもないのにゴミの奪い合い。おそらく、ゴミを捨てたのはこのボロいビルの上に住む中国人留学生だろう。決めつけるのはよくない? でも、まあ、おれもここ長いし、おそらくはそうなのだ。

と、そこで、カレー屋のネパール人が出てきた。調理服、片手にフライパン。「アブナイヨー。ケンカアブナイヨー。警察ヨブヨー」。すると、老人の方が「おお、呼んでくれ! 警察呼んでくれ!」。ネパール人、どうしていいかわからないで戸惑っている。車が一台通り掛かる。道の真中で組み合っているので、通れない。軽くクラクションが鳴らされる。二人、組み合ったまま少し避ける。車、通り抜ける。

さて、どうなるのか、と思っていたら、さらに一人の登場人物。亀田三兄弟の親父みたいなのがぶらぶら歩いてやってきた。妙な縞柄のジャージを着て、セカンドバッグを持っている。まるでチンピラ、まさにチンピラ、あるいはヤクザ。これが組み合ってる二人にとんでもなく近い間合いにスッと入り込んで、「なにやってんの?」とひと言。するとあっさり二人は組手を解いて、なにか捨て台詞を吐いて右左に散る。ネパール人も店に戻る。おれは窓を閉める。

そんなんで、今日も関外は平和です。