50年代ハリウッド好きにはたまらないかも? コーエン兄弟『ヘイル、シーザー!』

 

おれは一時期コーエン兄弟にはまっていて、心の監督ベストテン第一位だったこともある。が、いつの間にかランクが下がっていて、この『ヘイル、シーザー!』も、「あ、こんな作品あったの」ていどだった。でも、だいたい8割以上はコーエン兄弟作品見ているのでベストテンは維持している。

で、コーエン兄弟というとわりと、というか、けっこういろいろな球を放ってくる。おれが心底好きな映画で、すべての映画のなかで心のベストテン第一位なのは、変化球的である『ビッグ・リボウスキ』だったりする。一方で、言うまでもなく名作の『ファーゴ』、『ノーカントリー』、『トゥルー・グリット』と、万人におすすめできる球もある。そして、「ちょっとおれにはわからんなぁ」というのが『オー!ブラザー』だったり、『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』だったりする。

して、この『ヘイル、シーザー!』はどれにあたるのか。なんか、混ざった感じ、だった。劇中劇の遊び心と出来栄えは『ビッグ・リボウスキ』のイメージがあるし、ドタバタ劇というあたりは『赤ちゃん泥棒』を思わせたりもする。一方で、赤狩りくらいは知っていても、50年代ハリウッドを知らんおれにとっては、「わからんなぁ」というところも多く……ありそうだった。「ありそう」というのは、元ネタを知らないのでそれに元ネタがあるのかどうかもわからん、ということだ。調べてみたら、登場人物のすべてに元ネタがあるらしというじゃないか。

では、元ネタを知らなければ面白くないのか? というと、そんなことはなくいくつも笑えるところはある。あるけど、「元ネタあんだろうな」という邪念? がつきまとうことはあって、「おれが50年代ハリウッド映画世界に詳しければな」と、思うところもある。いっそのこと、ネットで元ネタについて調べてから見るのもいいかもしれない。あと、ジョージ・クルーニーはじめとしたビッグ・ネームも役にはまっていて見事。訛りの抜けないカウボーイ俳優が面白いなと思ったら、、オールデン・エアエンライクという役者さんで、最近のハン・ソロ(おれはまったくSWを知らないが)をやったりしているらしい。

まあともかく、コーエン兄弟らしくしっかりと作り込まれた作品。話の筋も複雑ではない。楽しく見るのがいいんじゃないでしょうか。なんか投げやりだな。まあいいや。

 

 

ファーゴ (字幕版)

ファーゴ (字幕版)

 

 

トゥルー・グリット (字幕版)