この世で起きていることは、
たとえばラブホテルの外で起きていること。
外の世界が滅んでしまっても、
ラブホテルのなかは安らかだ。
わたしとあなたはそれを知らないで、
うつらうつらしたりしている。
ラブホテルの外では人が死に、
人が苦しみ、人が死に、
絶望の底でのたうちまわっていても、
わたしとあなたはそんなことを知るよしもなく、
くだらないジョークで笑いあったりしている。
それでもいつかは、
ラブホテルの休憩時間も終わってしまう。
外は雨が降っているか、寒風が吹いているか、
出てみなければわからない。
いつか人間は外に出なくてはならない。
そのときが、今年なのか来年なのか、
あるいはもう通り過ぎてしまって取り返せないのか、
だれも知りはしないのだ。
おれは今年、
外に出るのか出ないのか、
おれも知りはしないのだ。