令和二年 年頭所感

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この世で起きていることは、

たとえばラブホテルの外で起きていること。

外の世界が滅んでしまっても、

ラブホテルのなかは安らかだ。

わたしとあなたはそれを知らないで、

うつらうつらしたりしている。

ラブホテルの外では人が死に、

人が苦しみ、人が死に、

絶望の底でのたうちまわっていても、

わたしとあなたはそんなことを知るよしもなく、

くだらないジョークで笑いあったりしている。

それでもいつかは、

ラブホテルの休憩時間も終わってしまう。

外は雨が降っているか、寒風が吹いているか、

出てみなければわからない。

いつか人間は外に出なくてはならない。

そのときが、今年なのか来年なのか、

あるいはもう通り過ぎてしまって取り返せないのか、

だれも知りはしないのだ。

おれは今年、

外に出るのか出ないのか、

おれも知りはしないのだ。