おれのなかの1.4がとりあえず終わった

おれは10年くらいまえにその10年くらいまえの話を書いた。

goldhead.hatenablog.com

小川直也vs橋本真也。試合は小川による一方的な「暴力」(あえてこの言葉を使う)で終わった。おれのイメージするプロレスとはあまりにも違いすぎて、もちろん総合格闘技とも違いすぎて、なにか事件をみたんじゃないかと思った。そのくらいのインパクトがあった。

で、上の記事でも書いたし、読んだ本にもそんなこと書いてあったし、だいたい世間的にも小川側の「片ガチ」(……というのかな? 片方だけが本気で仕掛けて、相手はそれを知らない)だろうということになっていた。とはいえ、いろいろな状況からそう考えるのが妥当であろうということであって、はっきりと断言はできなかったのだが……。

今朝、こんな記事を見た。

news.yahoo.co.jp

なんと、小川直也が証言した。

小川さんは「これはまだみんなに話したことはないんですけど」と前置きした上で、「猪木さんに『ちょっと来い』って言われて。『これはもう世紀を懸けた一戦にするから、ちょっとお前、やって来い。一方的に蹴りまくって、最後は蹴ってリングから出すまでやれ』って言われたんですよ」と当時の真相を告白。

「もう猪木さんからやれって言われたら、NOとは言えませんから、やって来なきゃいけないわけです。こっちは」

うわ、本人が、言った。これはすごい。おれのなかですごい。おおよそ考えられてきた通りでだし、そのうえ本人が言ったら、それはもう、とりあえずそうなのだろうと。アントニオ猪木もそのように指示したのだろうと。いやはや。

また、ハチミツ二郎さんは「猪木さんがよく言うんですよ。『プロレスの興行で盛り上がってても、それは環状線の中だ』『プロレスファンだけじゃなく、ファンじゃないところまでニュースを飛ばせ』って」と猪木さんの考え方について解説。

そしてこれである。たしかに、環状線の外にいたおれにまで、この衝撃は飛んできた。まんまと猪木の手法にのせられたのだ。タイガー・ジェット・シンの新宿襲撃事件、猪木失神KO事件……。そりゃ坂口征二も「人間不信」って書いて失踪するわ。……って、ぜんぜんリアルタイムじゃ知らないんだけれど。

というか、環状線の外まで1.4の衝撃は届いたし、その後の小川vs橋本のリベンジマッチも見た。でも、おれは結局、「1.4の衝撃」の魅力にとりつかれたのであって、「プロレス」のファンにはならなかった。でも、なった人もいるだろう、たぶん。

今、アントニオ猪木は難病を患って闘病生活を送っている。それは本当だ。しかし、底しれぬ人間だ。このまま終わるとは思えない。快復を願いたい。